ある生物がほかの生物の体内に侵入して栄養を吸収すること。外部寄生に対する語。人体の消化管内に十二指腸虫・回虫、組織内に肺吸虫・肝吸虫、赤血球内にマラリア病原虫など、各部位に応じて寄生する種類がある。内部寄生性の生物は生理的、形態的、生態的にきわめて特殊化している。たとえば、酸素のほとんどない消化管内に寄生する回虫では、酸素呼吸のかわりに解糖作用によってエネルギーを得ている。また、宿主に到達する機会を増すために、線虫類では膨大な数の卵を産む。吸虫類では、中間宿主内で幼生生殖を行い、最初の幼生(ミラシジウム)一個体から数十から数万の最終幼生(メタセルカリア)を生じる。
内部寄生虫は宿主の病気の原因となっているものも多い。宿主が受ける障害は、種類、個体数、宿主の個体差などによって異なるが、組織が破壊されたり管腔(かんこう)を詰まらせたりする器械的障害と、寄生虫が分泌する有害物質による化学的障害のほか、アレルギー反応による障害などもある。これらの障害はほとんどすべて慢性的な経過をとるが、ときには急性的な病状を示すこともある。
[近藤高貴]
… 植物の動物に対する寄生は主として細菌やウイルスで知られるが,魚につくミズカビ,鳥獣の肺につくコウジカビ属の菌,人間につくたむしや水虫などの真菌類の例もある。 動物の動物に対する寄生にはさまざまな方式があり,内部寄生endoparasitismと外部寄生ectoparasitism(ノミ,カ,ダニ,ヒルなど),一生寄生性なものと幼虫のとき(またはその一時期だけ)寄生性なものと成虫のときだけ寄生性なもの,ずっと宿主についているものと栄養をとるときだけ宿主につくもの(カ,ダニ,ヒルなど)というようなものが知られている。 内部寄生をする動物の中には2種以上の異なる宿主を必要とし,手の込んだ生活環を有するものがある。…
※「内部寄生」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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