普及版 字通 「冖」の読み・字形・画数・意味
冖
2画
[字訓] おおう
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
上から深く覆う形。〔説文〕七下に「(おほ)ふなり。一の下垂するに從ふ」とあり、両辺が下垂して全体を覆う形となる。〔玉〕に「巾(きれ)を以て物をふ」とし、今の(べき)の字であるという。のちの字を用いる。
[訓義]
1. おおう、おおい。
2. のちに作る。
3. 部首として「わかんむり」という。
[古辞書の訓]
〔字鏡集〕冖 オホフ
[部首]
〔説文〕に冠・(しゆ)・(と)の三字を属し、別に(ぼう)部に同・(こう)・(ぼう)、(ほう)部に冕・冑・(冒)・最の字を属する。〔玉〕もその例により、字数が多い。冠は寇と同じく中の儀礼で、ともに宀(べん)に従うべき字。は神託を求める中の礼である。部の同は酒器、部の字は面衣、最は戦場の獲耳()を撮(つま)み集めるのに巾を用いる形。これのみが覆巾の象に従うが、・とはまた意象が異なる。形似の字の間にも、それぞれの本形本義を考えることが必要である。
[声系]
〔説文〕に冖声として(せき)・(べき)の二字を収める。は食器の(き)を覆う形。は鼎を覆う形で、声義も同じであるべき字であるが、〔説文〕五下にを「の剛柔はずして相ひく」とし、「讀みて(せき)の(ごと)くす」という。おそらく当時の俗語を以て解したものであろう。も冖声であるが、〔説文〕未収の字である。
[語系]
冖・・myekは同声。幎(べき)・(べき)も同声の字。すべて礼器・祭器の類を覆い、幎は死者の面を覆うことをいう。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報