写真美術館(読み)しゃしんびじゅつかん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「写真美術館」の意味・わかりやすい解説

写真美術館
しゃしんびじゅつかん

写真を専門に収集展示する美術館日本では、写真誕生150年を迎えた1989年(平成1)前後に、川崎市民ミュージアムや横浜美術館など、内外の写真コレクションに力を入れる美術館が登場、写真をめぐる新しい動きが生まれた。1995年1月には、東京・渋谷区恵比寿(えびす)に、国内では初めての写真と映像に関する専門美術館として東京都写真美術館開館した。二つの展示室と一つの映像展示室があり、国内外の写真、映像作品約3万点が収蔵されている。また併設図書室には約4万冊の専門図書、資料があり閲覧できる。

 海外では、アメリカ・ロチェスターのジョージ・イーストマン・ハウス国際美術館、ニューヨークのインターナショナル・センター・オブ・フォトグラフィー(ICP)、パリのフランス国立写真センターなどが名高い。

[高三啓輔・天野徳子]

『松本徳彦著、東京都写真美術館監修『日本の美術館と写真コレクション』(2002・淡交社)』『『東京都写真美術館ニュース』(1990.6~ )』

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知恵蔵 「写真美術館」の解説

写真美術館

1988年、写真部門を持ち、写真作品を本格的に収集する日本最初の公立美術館として川崎市市民ミュージアムが開館。89年には横浜美術館が、90年には東京都写真美術館(本格開館は95年)がオープンし、写真関係者の長年悲願であった写真美術館が、ようやく具体的に動き始めた。一方、写真を専門に扱うギャラリーも、80年代以降増え続けている。近年現代美術を中心とするギャラリーでも、写真作品が多く取り上げられるようになってきた。その中で、写真家たちの意識も変わりつつある。80年代までは作品の最終的な発表の場は写真雑誌や写真集のような印刷媒体だった。だがそれ以後は、美術館やギャラリーでの展示を前提として作品を作る写真家たちが多くなってきている。彼らは会場の空間そのものを生かしたインスタレーション的な展示を試みることで、従来の平面的な展示の枠組みを解体しつつある。

(飯沢耕太郎 写真評論家 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「写真美術館」の意味・わかりやすい解説

写真美術館
しゃしんびじゅつかん

芸術作品もしくは文化遺産としての写真を収集し展示する美術館。日本での本格的な写真美術館の第1号は 1995年に総合開館した東京都写真美術館だが,それより前の 83年,山形県酒田市に写真家,土門拳の業績をたたえて「土門拳記念館」が開館している。さらに川崎市市民ミュージアムも 88年に写真の常設展示部門を設置している。このような専門美術館設置ブームの背景には,写真を含む映像に対する芸術的・文化的評価の高まりがある。

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