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美術館 びじゅつかんmuseum; gallery

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

美術館
びじゅつかん
museum; gallery

絵画,彫刻,工芸品などの文化遺産を収集し,鑑賞,啓蒙,研究のために展示する専門博物館。歴史的には,前3世紀にプトレマイオス2世がアレクサンドリアに造ったムセイオン mouseionから始ったものとされている。ルネサンス期以降のヨーロッパでは王候貴族による膨大なコレクションが形成されたが,なかでも特に美術品を陳列するために専用の部屋が設けられるようになり,ギャラリーと呼ばれた。これが美術館の最初の形態といえる。 18世紀にはこれらのコレクションが一般に公開されるようになり,1737年にウフィツィ美術館,59年に大英博物館,93年にはルーブル美術館相次いで設立,公開されたが,独立した美術館としての性質をそなえたものは少なかった。 20世紀に入ると,従来の雑然とした博物館から美術館として独立するものが多くなり,世界各地で歴史部門を切り離して美術専門の立場を明らかにした多数の美術館が設立され,一般公開されるようになった。

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デジタル大辞泉の解説

びじゅつ‐かん〔‐クワン〕【美術館】

美術品を収集・保管・展示し、一般の展覧・研究に資する施設。

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世界大百科事典 第2版の解説

びじゅつかん【美術館】

一般に,美術品の収集,陳列をおこなう博物館をいう。美術館と博物館とは本来区別さるべき二つの概念であるが,しかし慣用的には両者は区別なく用いられることも多く,また実際,収集,陳列すべき対象の相違を別にすれば,施設,機関としての性格はほとんど変わらない。美術館という呼称はmuseum of fine arts,musée des beaux‐arts(フランス語),Kunstmuseum(ドイツ語)等に対応しているが,狭義の美術品(絵画,彫刻,工芸等)のほか,考古学的な遺物や武具,服飾品等も収蔵,展示しているルーブル美術館ウィーン美術史美術館などは,厳密には〈美術博物館〉ともいうべき性格をそなえている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

美術館
びじゅつかん

学術的、専門的な調査研究に基づき、美術品を収集保管し、必要に応じて展示を行う機関、およびその施設の建物。主として、日本では学芸員とよばれる専門職員が業務を担当する。専門職員は、アメリカではキューレーターcuratorイギリスではキーパーkeeperフランスではコンセルバトゥールconservateurなどと、各国によって呼称・業務の内容につき差異がある。
 美術館には、絵画、彫刻、工芸のほか、考古学的遺物や武具、服飾品などを含む美術博物館ともいうべき性格のものと、絵画のみを扱う絵画館(ドイツ語でピナコテークPinakothek)、彫刻専門の美術館(グリュプトテークGlyptothek)がある。またロンドンやワシントンのナショナル・ギャラリーのように、元来は歩廊や通路をさすギャラリーgalleryが絵画館に近い意味で使われることもある。[友部 直]

歴史


西洋
博物館・美術館をさすミュージアムmuseumの語源はギリシア神話の詩や音楽をつかさどる女神ミューズの神殿ムセイオンmuseionに由来する。紀元前300年ごろ、エジプトを継承したプトレマイオス1世はアレクサンドリアの宮殿内に絵画や彫像を陳列し、ムーセイオンと名づけた。紀元後2世紀にはアテネのアクロポリスに近いピナコテーカとよばれるホールで多くの絵画を展示・公開したが、これが今日的な意味での最初の美術館とされている。
 ルネサンス運動の中心となったフィレンツェでは、メディチ家の後援のもとに莫大(ばくだい)な美術品の収集が行われ、コジモ・デ・メディチはこれらの美術品展示のために、採光や遠近法のバランスを考慮したギャラリーをウフィツィ宮に設計したが、これは美術館建築を明確に意図した最初の設計といえる。しかし美術館の建物の多くは、宮殿、教会堂、貴族の邸宅などがそのまま転用されて展示施設として使われ、西洋建築史のなかで美術館が個別の施設として独自の展開をするのは18世紀後半以降である。
 1753年にスローン卿(きょう)の莫大なコレクションをもとにイギリスの大英博物館が発足したのをはじめ、ヨーロッパの各王室のコレクションの一部が公開されるようになった。そしてフランス革命によって実現したルーブル美術館は世界最初の公立美術館となった。
 19世紀は探検や古代遺跡の発掘が盛んに行われた時代で、古代文明の秘宝がほとんど略奪に近い形で次々とヨーロッパにもたらされたが、この反省から19世紀後半には学術的な発掘調査と同時に遺跡の復原や現地保存の遺跡博物館がつくられるようになった。1851年ロンドンで開催された第1回万国博覧会では、パクストンのクリスタル・パレス(水晶宮)が近代建築運動の先駆として注目を浴びたが、こうした博覧会では、産業革命以後の科学技術の進歩が説明図や実験器具・模型などによって具体的に展示されて好評を得た。この展示法は現在も科学博物館などに受け継がれている。
 アメリカでは1773年公開のチャールストン博物館がもっとも古く、19世紀になってコーコラン、ボストン、メトロポリタン、フィラデルフィアの各美術館が相次いで公開された。20世紀に入るとアメリカの経済支配が世界に及び、カーネギー、ロックフェラーなどの巨大財閥により、多量の美術品がヨーロッパやアジアからアメリカに流入し、個人のコレクションの寄贈によるものや、大学付属施設も含めて数多くの美術館が設立された。ロシア革命以後のソ連では、エルミタージュ美術館やクレムリン美術館が国家の手厚い保護のもとに公開され、さらに社会主義体制に基づく社会史、革命、農工業などの新しいタイプの博物館が生まれた。
 こうして美術館の内容が多様化するにつれて、考古学・民俗学を主とする歴史博物館と科学博物館、美術博物館に分化、専門化が進むようになる。さらに従来は軽視されがちであった装飾部門を扱う装飾美術館や、東洋美術館のように特定地域の美術品をおもに収集する美術館などへ細分化が進んだが、なかでも各国で続々と近代美術館が誕生したことは特筆してよい。
 近代美術の幕開きとなった印象派絵画の出現以来、人々の関心と共感は、それまで美術の主流とされてきた古典作品よりも近代美術へ向けられるようになって、美術館も建築、デザイン、写真、映像などを含めた近代美術への視点の重要性を認識せざるをえなくなった。その結果、ロンドンの近代美術館テート・ギャラリー、パリの国立近代美術館、アメリカのニューヨーク近代美術館など、ヨーロッパの近代絵画や自国の現代美術を常時展示する美術館が増えていった。[友部 直]
日本
日本には古くは正倉院があり、また奈良時代から社寺に奉納された美術工芸品は宝物殿や宝蔵に秘蔵され、毎年一定期間だけ虫干しを兼ねて一般に開帳される習慣があった。このほか諸侯や富裕な町人の個人的なコレクションもあったが、これらは一般に公開されることはなく、西洋的な意味での博物館、美術館は明治以後になる。1872年(明治5)東京・湯島聖堂で文部省博物館主催の美術工芸品の展示が行われたが、1877年に第1回内国勧業博覧会が上野公園で開催されたとき、美術品を陳列した部門を美術館と称した。これが後の帝室博物館、現在の東京国立博物館の前身で、1925年(大正14)に科学部門、1938年(昭和13)に歴史部門を分化して、美術博物館としての性格を明確にしていった。1895年に現在の奈良国立博物館、1897年に京都国立博物館が開館、1930年には倉敷の大原美術館が西洋絵画のコレクションを常設展示する民間最初の西洋美術館として発足した。第二次世界大戦後の1951年(昭和26)に神奈川県立近代美術館が、1959年東京に国立西洋美術館が開かれ、他方で、ブリヂストン美術館、山種(やまたね)美術館、出光(いでみつ)美術館、大和文華館(やまとぶんかかん)など実業家のコレクションを核にした優れた民間の美術館も相次いで開設された。1970年以降日本経済の発展に伴い、地方公共自治体による公立美術館の設立ラッシュが続いた。これらの多くは近代美術館で、それぞれに特色ある建物を競い、収蔵品の内容や展示企画とともに、建築と美術との相互関係が注目され始めている。
 その一方では、美術ブームを反映して貸会場専門の美術館や、日本の特殊例ではあるが、新聞社やデパートが主催する美術展が盛んである。もの珍しさの時期を終えたいま、美術館本来の役割と性格が改めて問い直され、国際的な交流や中央と地方を結ぶ好企画の巡回、公開講座やニュー・メディアの導入など、新しい時代の美術館活動が期待されている。[友部 直]
『梅棹忠夫他編『世界の博物館 別巻 世界の博物館事典』(1979・講談社) ▽嘉門安雄監修『日本の美術館』第1期全10巻(1986~1987・ぎょうせい) ▽川成洋著『世界の美術館』(1997・丸善) ▽全国美術館会議『全国美術館ガイド』(1999・美術出版社) ▽淡交社編『日本の美術館と企画展ガイド』各年版(淡交社)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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図書館情報学用語辞典の解説

美術館

絵画,彫刻,書,建築,工芸品などの美術品を収集・保存・展示して一般の観賞・調査研究に資する施設.学芸員を置き,充実した資料に基づく専門的な活動を行う美術館は美術博物館と呼ばれる.一方,資料をほとんど持たず,外部の資料を借りて展示するギャラリー的な美術館が増えている.資料の種類を限定した絵画館,彫刻館,工芸館などもある.文部科学省の調査によれば,2008(平成20)年現在,美術博物館449館,類似施設652館.

出典|図書館情報学用語辞典 第4版
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世界大百科事典内の美術館の言及

【ギャラリー】より

…ベルサイユ宮殿の〈鏡の間Galerie des Glaces〉はその好例。細長い広間が展示空間として使われることにより,美術館ないし展示場もギャラリーとよばれ,その代表例はウフィツィ美術館,ロンドンおよびワシントンのナショナル・ギャラリーである。また,屋根付き歩行者通路もギャラリーとよばれ,転じてそこに集まる群集,特にゴルフ競技の観客をもさす。…

【コレクション】より

…なぜならば,建築や,建築の内外に付随するため現地に残されている美術品を除いて,過去のあらゆる美術的遺産は必ずなんらかの収集に属しているといえるからである。啓蒙主義の時代とそれに続くフランス革命期に,各王家の収集が次々に公共化されて美術館の形を取るようになる以前には,すべての美術品収集は私的性格をもち,公開はきわめて例外的であった。本項では,そのような美術館以前の時代の収集と近代以降の私的コレクションとを扱う。…

※「美術館」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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