出産手当金(読み)しゅっさんてあてきん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「出産手当金」の意味・わかりやすい解説

出産手当金
しゅっさんてあてきん

出産に際しての健康保険給付の一つ。健康保険の被保険者本人が、分娩(ぶんべん)に伴う休業期間中に給与を減額されたとき、または無給になったときに、分娩による収入喪失分を補填(ほてん)して生活を保障する。基本的には、分娩の日以前42日から分娩の日後56日までの間で、休業した期間の1日について、標準報酬日額の3分の2に相当する金額が保障される。したがって、給料をもらっていても出産手当金の額より少ないときは、その差額が支給される。なお「出産手当金」は出産による収入の喪失を補填するもので、出産育児の経済的な援助を行う「出産育児一時金」とは混同されやすいが別のものである。

[小谷浩之]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「出産手当金」の意味・わかりやすい解説

出産手当金
しゅっさんてあてきん

女子の被保険者が出産により働けず,給料がもらえないときに支給されるもの。原則として分娩日前 42日,分娩日後 56日分,1日あたり標準報酬日額の 60%の金額が給付されることになっている。受給するには本人名義の社会保険に1年以上加入していること,分娩日の6ヵ月前まで仕事をしていることが条件となる。なお,国民健康保険ではこの制度が設けられていないことが多い。

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世界大百科事典(旧版)内の出産手当金の言及

【社会保険給付】より

…日本はこれら諸条約のうち,102号条約の批准を終えたにとどまる。 日本の医療保険による傷病手当金と出産手当金の給付率は,算定基礎となる受給者本人の賃金・給与額の割合で,各種共済組合が65%または80%,健康保険が60%,雇用保険の基本手当が60~80%,労災保険の休業補償給付は60%などとなっている。年金保険による年金額は定額部分と報酬比例部分の組合せの有無,加入期間比例制の仕組みの違い,世代による給付率の差の過渡的設定,算定基礎となる受給者本人の賃金・給与額が長期にわたるなどのため,同様の割合を示すことは難しい。…

【出産休暇】より

… 法は休暇期間中の賃金についての定めを欠いており,これは労使の決定にゆだねられている。ただし,健康保険法は出産手当金として,産前42日間,産後56日間標準報酬日額の60%を支給する規定をおく。健康保険法の適用から除外される女性労働者には,この期間中,所得が保障されないことになり,問題が多い。…

【法定外給付】より

…厚生年金基金が支給する老齢年金の上乗せ分を付加給付と呼ぶこともあるが,一般には医療保険について用いられる。 任意給付には,国民健康保険の運営主体である市町村や国民健康保険組合が,条例や規約に定めて自主的に支給する育児手当金,出産手当金,傷病手当金などがある。付加給付には,大企業を中心に組織される健康保険組合が,政府管掌健康保険の法定給付に上乗せして支給する家族療養付加金,埋葬料付加金,分娩付加金などや,各種共済組合の同様の付加給付がある。…

※「出産手当金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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