ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
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(梶本章 朝日新聞記者 / 2007年)
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保険制度の一つ。その技術的基盤は保険にあるとはいえ、その目的が特別な性格をもつことによって、独自の存在となっている。
[佐口 卓]
一般に保険制度というときには、個人の生命や財産などの思わざる損失に対しての経済的補填(ほてん)を期待することにあるのだが、社会保険は労働者の生活の安定を目ざしたものといえるし、貧困に陥ることへの防止策=防貧策としてまず登場したのであった。労働者の生活は労働の対価としての賃金によって支えられるが、もし労働不能によって賃金が得られないときには生活難となり、貧困への転落が生じる。この場合に、賃金にかわって社会保険からの生活保障が得られるならば、労働者の生活は安定するであろう。当初は、労働者ことに肉体労働者に対してのこうした保護を目的として社会保険は国家的施策のうえに成立をみた。1883年、ドイツでビスマルクによって成立した疾病保険がその嚆矢(こうし)とされ、労働者保険ともよばれて各国に普及した。その後、職員層にも適用対象が拡大され、さらに被用者以外の人々にも普及されて今日に至っている。
現在では、多くの国々において、社会保障制度の中核的存在として、この社会保険が重要視されていることは注目されてよい。とくに、社会保険の要件としては、国家管理、国庫負担、強制加入があげられるがゆえに、保険制度のうえでは、私的保険に対して公的保険と位置づけられているし、強制加入を原則としている点にその特色がうかがわれる。
[佐口 卓]
保険制度である限り、保険の対象となる保険事故=危険・リスクが設定されるが、社会保険では労働者の労働不能がこれに該当し、通常は、一時的労働不能である傷病・出産・失業、永久的労働不能である身体障害・老齢・死亡(遺族)があげられる。これらによる賃金の喪失に対し、保険給付が手当金、一時金、年金として支給されるが、それぞれの保険事故に応じて社会保険はいくつかの種類に分かれる。傷病・出産について疾病保険(健康保険、医療保険)、失業について失業保険(雇用保険)、障害について障害保険、老齢について老齢保険、死亡について遺族保険がある。前二者は給付期間が短いので短期保険とよばれるが、後三者はそれが長いので長期保険とよばれ、かつ、給付形態が主として年金によるので、年金保険(障害年金、老齢年金、遺族年金)として一括される。
このほか、労働者が業務の遂行に原因があって、かつ、重大な過失がない限り、労働災害として被災するか、あるいは職業病に罹患(りかん)した場合には災害保険、労災保険(労働者災害補償保険)がある。この制度は事業主の賠償責任を含む補償を内容とするものであることから、社会保険の範疇(はんちゅう)に入るか否かは議論の分かれるところであるが、通常はその範疇に入れている。失業保険と労災保険の両制度は被用者が雇用関係にあることから生じる保険事故を扱うので被用者固有のものとしてとらえ、あえて労働保険とよんで独自の存在を主張することがある。
社会保険は、被用者の場合には、保険料は賃金比例で徴収するが、原則的には労使折半負担である。労災保険は賠償的性格があるため、保険料は使用者全額負担となる特色がある。給付も同じく賃金比例ではあるが、国庫負担が考慮されている一方で、個人的欲求を離れて、給付がどれくらいあるかは社会的必要性と妥当性において決定される。被用者以外の人々に社会保険が拡大適用されたときには、その人々の所得に比例して保険料も給付も決定されるが、保険料に使用者負担がないことから、給付に国庫負担が投入される割合が高いこともある。なお、社会保険にあっては、国の責任と管理のもとに運営されるので、その事務費は全額国庫負担であることはいうまでもない。
[佐口 卓]
日本における社会保険制度は1922年(大正11)に成立をみた健康保険制度から出発して、現在では各種社会保険制度が整備されてきている。61年(昭和36)からは、社会保障制度の拡充強化のために、すべての国民がいずれかの医療保険・年金制度に加入する国民皆保険・皆年金を実現するに至った。しかしながら、現行制度をみると、適用対象ごとに各制度が分立しているのが現状であり、制度によって負担と給付が異なっている。国民皆保険・皆年金というのであれば、これらの制度はできる限り一元的に整備されていくことが望ましいのはいうまでもない。皆保険という医療保険の全国民への適用は、ほとんどの国民が傷病に対して保険医療で受診・受療することになるが、これは医療費用のコストの上昇と相まって、医療費の増大という現象を生ぜしめており、現在では医療費抑制の政策が望まれている。皆年金も、高齢化社会においてすべての老人が老齢年金に結び付いてくることが期待されるが、それをまかなう年金財政の安定した維持策が望まれている。これらは、日本の社会保障の中核である社会保険制度が、財政的観点から、今後の高齢化社会にいかに対応していくかを問われていることを示している。
[佐口 卓]
『近藤文二著『社会保険』(1963・岩波書店)』▽『佐口卓著『日本社会保険制度史』(1977・勁草書房)』▽『八田達夫・八代尚宏編『社会保険改革――年金、介護、医療、雇用保険の再設計』(1998・日本経済新聞社)』▽『社会経済生産性本部生産性労働情報センター編『社会保険ポイント解説――介護保険時代の職業生活』(1999・社会経済生産性本部)』▽『加藤実著『社会保険法入門』(2000・同友舘)』▽『小西国友著『社会保障法』(2001・有斐閣)』▽『土屋彰監修、吉田正敏著『図解 社会保険入門の入門』6訂版(2002・税務研究会出版局)』▽『社会保険手帖編集部編『社会保険手帖』各年版(厚生出版社)』▽『小島米吉著『社会保険の知識』(日経文庫)』
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
…すなわち,国,その他公共団体の社会政策,経済政策など政策実現の手段として営まれる保険が公保険,それ以外のものが私保険と分類される。公保険は政策保険ともいわれ,さらに社会保険と経済政策保険に大別される。社会保険は,社会政策的見地から実施される保険で,健康保険(組合管掌健康保険および政府管掌健康保険),国民健康保険,厚生年金保険,労災保険,雇用保険などがある。…
…扶助は極貧者だけではなく,生活上のニーズを充足する手段を欠いた貧困者に対しても法定の権利として給付されるようになった。
[社会保険の誕生と普及]
貧困者に対する公的扶助によって生存水準以下への落込みを回避できたとしても,貧困状態につき落とされた人がそこから脱出することは決して容易なことではない。人々は疾病,失業,労災など貧困の原因になる危険にさらされて不安な生活を送っている。…
※「社会保険」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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