出羽郷(読み)いずわごう

日本歴史地名大系 「出羽郷」の解説

出羽郷
いずわごう

江川支流の出羽川上流地域、現瑞穂町の田所たどころ地区から出羽地区一帯に比定される。貞応二年(一二二三)三月日の石見国惣田数注文に邑智郡公領として「出羽のふよもりちか 卅六丁四反小」「下出羽佐波同いなよし 十一丁七反百廿卜」とみえるが、「出羽」「下出羽佐波」は同注文執筆後の追記の可能性が高い。正応二年(一二八九)五月二六日の後深草上皇院宣(山城鳥居大路家文書)によると、これ以前に公領「出羽郷」と京都上賀茂社領久永ひさなが庄との間に境相論があったが、相論の対象となった地を上賀茂社に打渡すよう国司に命じている。同四年の異筆をもつ二月一六日の伏見天皇綸旨案(早稲田大学所蔵文書)においても、当時の石見国知行国主であったと思われる三条大納言実重に対し、出羽郷が取込んだ久永庄の一部を返付させるよう命じている。この相論は出羽郷を実質的に支配していた在地領主が久永庄側と境界をめぐって争い、その一部を出羽郷に取込もうとしたものであろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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