制限三体問題(読み)せいげんさんたいもんだい(その他表記)restricted problem of three bodies

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「制限三体問題」の意味・わかりやすい解説

制限三体問題
せいげんさんたいもんだい
restricted problem of three bodies

3つの有限質量天体による一般の三体問題を完全に解くことはできないが,ある種の制限を加えると解が得られる場合があり,これを制限三体問題と呼ぶ。代表的なものは,有限質量の2つの天体が共通重心のまわりを互いに円軌道を描いて運動している場合に,同じ軌道面上をこれら2つの天体の引力を受けながら動く無限小の質量の第3の天体の運動を論じる問題である。有限質量の2つの天体の共通重心を原点とし,これら2つの天体の位置がその上で固定するように回転する座標系で無限小質量の第3の天体の運動方程式を解くと,ゼロ速度曲線と呼ばれる曲線で囲まれた第3の天体の運動の存在可能な範囲が求められる。この範囲は2つの天体の質量と第3の天体の最初の位置や速度で決ってしまう。制限三体問題の実際の例としては,太陽と木星の引力の作用下での小惑星の運動,地球と月の引力を受けながら動く人工衛星や宇宙船の運動,近接連星系で一方の星から吹出された気体粒子の運動などがある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の制限三体問題の言及

【三体問題】より

… 3個の天体のうちの1個の質量を無限小と考えると,有限質量の2天体は共通重心のまわりにケプラー運動を行う。このとき,第3の無限小質量の天体の運動を求める問題を制限三体問題という。その運動方程式は6階であって,一般の三体問題と比べてはるかに簡単化されているが,三体問題の本質的困難は失われていないので,三体問題の研究にかっこうである。…

※「制限三体問題」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android