ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「前方防衛戦略」の意味・わかりやすい解説 前方防衛戦略ぜんぽうぼうえいせんりゃくforward strategy NATOの基本的抑止戦略。平時から西ドイツの東部国境付近に通常戦力の主力を集中的に配置しておき,東側からの侵略を前方で阻止し,後方地域への侵攻,領土的犠牲 (占領) ,人的・物的損害を回避しようとしたもの。 1950年に採用されたのち,67年にはこれに加えて柔軟反応戦略が基本戦略に据えられた。前方防衛のために西ドイツ軍はもとより,アメリカ,イギリス,ベルギー,オランダ,カナダなどの各国軍が配置されてきた。しかしながらワルシャワ条約機構の解体,ソ連の崩壊による脅威の消滅に伴い戦略が見直され,90年には事実上,91年には正式に放棄されると同時に,柔軟反応戦略についても核兵器の大幅削減などにより修正されるにいたった。 91年の「新戦略概念」では,通常戦力を即時・緊急対応軍,主力防衛軍,増援軍の三段階構成とするとしている。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by