Partnership for Peace(略称PFP)の訳で,〈平和のためのパートナーシップ〉とも。1994年1月の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で決定されたもので,NATOが旧東側諸国との間で個別に結ぶ協力協定。NATOへの加盟を望む東欧諸国とそれに強硬に反対するロシアの双方に配慮してとられた措置で,NATO側からすれば東欧諸国の加盟への第一歩との位置づけである。この協定を結んだ場合,1.国防計画と予算の透明性の向上,2.軍隊の民主的統制,3.平和維持活動,捜索救援活動の要員訓練・演習などでNATOと協力・情報交換を行う。また,調印国はNATO本部に連絡事務所を設け,ヨーロッパ連合軍の司令部に将校を派遣する。ロシアはこれが実質的なNATO拡大であり,ヨーロッパの安全保障におけるNATOの比重が大きくなりすぎるとして,むしろヨーロッパ安全保障協力機構(OSCE)や北大西洋協力会議(NACC)の強化を図るべきだと主張していたが,結局1994年6月協定に調印した。 →関連項目安全保障|ロシア