日本大百科全書(ニッポニカ) 「加鉛ガソリン」の意味・わかりやすい解説
加鉛ガソリン
かえんがそりん
leaded gasoline
ガソリンのうちアンチノック剤として、テトラエチル鉛Pb(C2H5)4やテトラメチル鉛Pb(CH3)4などのアルキル鉛を添加してオクタン価を上昇させたもの。有鉛ガソリンともいう。これらの鉛化合物は猛毒性物質であるため、その毒性を表示するため加鉛ガソリンは染料により赤、緑、紫(航空用)などに着色されている。1970年代以降、加鉛ガソリンの排気中に含まれる鉛化合物の有害性、とくに排気浄化触媒が被毒されることから、世界的にガソリンの低鉛化ないし無鉛化が進み、現在では加鉛量は著しく低下している。自動車用は、2021年に最後の使用国のアルジェリアが供給を終了。同年、国連環境計画(UNEP)は撤廃完了を宣言した。日本産業規格(自動車用K2202、航空用K2206)では、自動車ガソリンは無加鉛、航空ガソリンの加鉛量は1.22mL/L以下に定められている。
[原 伸宜]