日本大百科全書(ニッポニカ) 「テトラエチル鉛」の意味・わかりやすい解説
テトラエチル鉛
てとらえちるなまり
tetraethyllead
テトラアルキル鉛の一つ。四エチル鉛ともいう。塩化鉛とエチル亜鉛、あるいは塩化エチルマグネシウム(グリニャール試薬)との反応でつくる。鉛を電極にしてブロモエタンを電解還元する方法もある。
Pb
4C2H5Br → (C2H5)4Pb+4Br
+e
無色の液体。オレンジ色の炎を出して燃える。ベンゼン、ガソリン、石油エーテルに可溶、水に不溶。きわめて有毒である。
ノッキング防止剤としてガソリンに混合して用いられてきた(有鉛ガソリン)が、環境問題に端を発して、テトラエチル鉛を含まない無鉛ガソリンに移行した。吸入および皮膚からの吸収により鉛中毒を引き起こすので、取扱いには注意を要する。
[佐藤武雄]