テトラエチル鉛(読み)てとらえちるなまり(英語表記)tetraethyllead

翻訳|tetraethyllead

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テトラエチル鉛」の意味・わかりやすい解説

テトラエチル鉛
てとらえちるなまり
tetraethyllead

テトラアルキル鉛の一つ。四エチル鉛ともいう。塩化鉛とエチル亜鉛、あるいは塩化エチルマグネシウム(グリニャール試薬)との反応でつくる。鉛を電極にしてブロモエタンを電解還元する方法もある。

      Pb
  4C2H5Br → (C2H5)4Pb+4Br
      +e
 無色液体。オレンジ色の炎を出して燃える。ベンゼンガソリン石油エーテル可溶、水に不溶。きわめて有毒である。

 ノッキング防止剤としてガソリンに混合して用いられてきた(有鉛ガソリン)が、環境問題に端を発して、テトラエチル鉛を含まない無鉛ガソリンに移行した。吸入および皮膚からの吸収により鉛中毒を引き起こすので、取扱いには注意を要する。

[佐藤武雄]


テトラエチル鉛(データノート)
てとらえちるなまりでーたのーと

テトラエチル鉛
  (C2H5)4Pb
 分子式  C8H20Pb
 分子量  323.4
 融点   -136℃
 沸点   198~202℃(227.7℃で分解
 比重   1.6524(測定温度20℃)
 屈折率  (n)1.5195

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テトラエチル鉛」の意味・わかりやすい解説

テトラエチル鉛
テトラエチルなまり
tetraethyl lead

四エチル鉛ともいう。化学式 Pb(C2H5)4 。無色の液体。融点-135℃,沸点 198~202℃。室温でも徐々に分解する。神経系統をおかす猛毒である。引火しやすく火災の危険もある。水には不溶であるが,ベンゼン,ガソリンなどに可溶。アンチノック剤としてガソリンに添加されたが,今日では公害問題を考慮して使われてない。

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