改訂新版 世界大百科事典 「勝手掛」の意味・わかりやすい解説
勝手掛 (かってがかり)
江戸幕府の財政専管の老中,若年寄。職務は月番を務めるほか勘定所役人への申達,任免,彼らよりの上申を受け,主要なものの額の決定や点検にあたった。勝手掛老中は1680年(延宝8)堀田正俊に従来合議制をとっていた老中執務のうち財政と農政を分離専管させたのが最初である。1712年(正徳2)中絶したが,17年(享保2)復活した。22年水野忠之が就任,前年の勘定所勝手方分課に対応し改革を行った。37年(元文2)松平乗邑が任じて年貢増徴を進めた。中絶時には老中月番・合議制により財政が運営され,61年(宝暦11)より常置となり,複数・月番制が多くなった。1867年(慶応3)廃止,会計総裁に引き継がれた。また,勝手掛若年寄は1698年(元禄11)秋元喬知,米倉昌尹が初めて任命され,中絶後1730年本多忠統の就任により復活した。
執筆者:大野 瑞男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報