勘定所(読み)カンジョウショ

百科事典マイペディアの解説

勘定所【かんじょうしょ】

江戸幕府の役所。江戸城内(御殿勘定所)と大手門番所裏(御番役御勘定所,下勘定所)にあり,幕府財務一般のほか,新田開発,旗本の知行割,街道・山林・河川の支配,訴訟取り扱いなどを担当。勘定組頭・勘定・支配勘定・支配勘定見習・勘定出役ほかの役人が執務し,その長官が勘定奉行。1712年監査役の勘定吟味役を再置。1721年以降は財政担当の勝手方と訴訟担当の公事方に分かれた。諸大名家でも藩の財務をつかさどった役所を勘定所という。

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世界大百科事典 第2版の解説

かんじょうしょ【勘定所】

江戸幕府の財政・農政を担当する機構,役所。おもな職務は,幕府財政の出納,全国幕領年貢の収取,鉱山・山林・河川・街道の支配,新田開発,旗本の知行割,代官の支配地割,幕領私領からの公事訴訟の取扱い,およびそれらに関連する事務などであった。勘定奉行を長官とし,勘定吟味役勘定組頭,勘定,支配勘定,同見習などの諸役人によって構成されていた。城内(御殿勘定所)と大手門内(下勘定所)の2ヵ所にあったが,それらの設置年代は不明である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

勘定所
かんじょうしょ

江戸幕府の役所。勘定奉行(ぶぎょう)を長官とし、天領支配と貢租徴収、財政事務、天領と関八州の大名領・旗本領の訴訟を管掌した。江戸城本丸殿中の御殿勘定所、大手門横の下(しも)勘定所に分かれる。職員は勘定組頭、勘定、支配勘定などで、最初は御殿詰・上方(かみがた)・関東方に分かれていたが、1721年(享保6)公事(くじ)・訴訟を受け持つ公事方と、財政事務を行う勝手(かって)方に分かれ、23年御殿勘定所は御殿詰・勝手方、下勘定所は取箇(とりか)方・伺(うかがい)方・帳面方に分課し、職員を増員した。監視役として勘定吟味役(ぎんみやく)がある。勘定組頭は常時12名、役高350俵、焼火間詰(たきびのまづめ)。勘定は役高150俵、焼火間詰。支配勘定は目見(めみえ)以下、役高100俵、躑躅間詰(つつじのまづめ)である。[大野瑞男]

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精選版 日本国語大辞典の解説

かんじょう‐しょ カンヂャウ‥【勘定所】

〘名〙
江戸幕府勝手方勘定奉行の執務する役所。城内と大手門番所裏の二か所にあり、前者を御殿勘定所、後者を下勘定所、または御番役御勘定所と呼んだ。
※禁令考‐前集・第二・巻一五・文化八年(1811)八月「御勘定所評議もの、其外御用向、殊之外手間取候も間々有之候」
② 江戸時代、諸大名家で財務をつかさどった役所。
※法例集(岡山藩)‐一・第二・山林・宝永六年(1709)三月「其上にて御郡方之御勘定所へ遣し」

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世界大百科事典内の勘定所の言及

【勘定帳】より

…江戸時代には年貢そのほかの決算帳簿を勘定帳と称した。幕府代官所,大名・遠国奉行預所ごとに毎年作成して勘定所に報告する勘定帳に,地方(じかた)勘定帳と御金蔵(おかねぐら)勘定帳の2種があり,また村請年貢を村内高持百姓に割り付け,その収支を計算する年貢勘定帳,商家の収支についての金銀勘定帳も勘定帳の一種である。地方勘定帳は年貢米金およびこれに付加する小物成・運上冥加・口米金その他の雑税の出納・皆済後決算する帳簿である。…

【享保改革】より

…これは貨幣経済の発達,通貨混乱で訴訟が増加したことへの対応であったが,29年撤回された。1721年閏7月勘定所を公事・訴訟を受け持つ公事方(くじかた)と年貢・普請・出納・知行を受け持つ勝手方に分け,翌年5月水野忠之を勝手掛老中に任じ財政改革に着手した。それまで御殿詰,上方,関東方に分かれていた勘定所機構を改め,殿中勘定所は御殿詰・勝手方,下勘定所は取箇(とりか)方・伺方・帳面方に分け,以後の分課の基本が形成された。…

【記録】より

…《異国日記》《通航一覧》は外交関係の編年体記録である。勘定所記録は《吹塵録》所収や譜代大名文書中の代官所・預所の物成勘定帳,金銀・米大豆納払勘定帳などの決算簿,〈御取箇相極候帳〉の連年の数字は〈御年貢米・金其外諸向納渡書付〉〈御取箇辻書付〉として《誠斎雑記》に記録されるが,その基礎史料は代官所・預所から勘定所に進達された勘定帳取箇帳などの帳簿である。このほか国絵図郷帳は大名が作成・上申したが,天保国絵図・郷帳は幕府が作成した記録である。…

【新田開発】より

…開発主体による新田類型は幕藩領主による官営新田と被支配者である土豪・農民・町人などによる民営新田である。 幕府の新田開発は代官見立新田と勘定所の監督工事であり,近世初頭に大規模かつ積極的に行われた。代官見立新田とは全国の天領を支配している代官が管内に開発可能地を見いだし,勘定奉行の許可を得て適当な担当者に開発させたものである。…

※「勘定所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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