日本大百科全書(ニッポニカ) 「包み焼き」の意味・わかりやすい解説
包み焼き
つつみやき
包み焼きには二義ある。一つはフナの包み焼きで、フナの腹を開いて腸を抜き、結び昆布、串柿(くしがき)、クルミ、クリ、ケシの5種を小さく刻んで詰め、フナの腹を閉じて焼いたもの。門出(かどで)や出陣の祝いに用いた。のちにこれは昆布巻きに変わった。もう一つは、魚鳥類、獣類の丸焼きのことで、古くは内臓もとらず毛のついたまま焼いた。のちに魚鳥類だけを用いるようになり、フナ、アユなどを焼くのを土蔵焼きというようになった。現在の包み焼きは、アルミ箔(はく)、硫酸紙、和紙、竹の皮などに包んで加熱したものをいい、かならずしも直火(じかび)で焼かなくても、包む形態のものに包み焼きの名がつけられている。
[多田鉄之助]