日本大百科全書(ニッポニカ) 「包丁鉄」の意味・わかりやすい解説 包丁鉄ほうちょうてつ 古代製鉄法で得られた鋼で、薄刃の包丁をつくりやすい炭素量の非常に低い鋼をいう。固体状態で鍛錬を繰り返して純化した包丁鉄には10%以上の酸化物がなお残存し、これが鍛錬方向に伸びている。地鉄の組成は純鉄ないし極(ごく)軟鋼に相当する。鋼を溶融して製錬する近代製鉄法において用いられる脱酸剤が添加されないのでマンガンやケイ素の含有量は非常に低い。[須藤 一][参照項目] | 炭素鋼 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「包丁鉄」の意味・わかりやすい解説 包丁鉄ほうちょうてつ 日本古来の製鉄法たたらぶきで製造した粗鉄を鍛錬して鉱滓をしぼり出し,同時に炭素量を調整し,適当な大きさにした素材。通常,炭素 0.08~0.26%,硫黄,リンの少い純良な炭素鋼である。その名称は素材としての形が包丁に似ているからで,必ずしも包丁の原料という意味ではない。製造工程からいえばイギリス古来のパドル炉で製造されたロウトアイアン (錬鉄) に類するものである。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報