包近名(読み)かねちかみよう

日本歴史地名大系 「包近名」の解説

包近名
かねちかみよう

包近領ともいわれた。牛滝うしたき川流域の現包近町一帯に位置し、山直やまだい郷内にあった所領。上方下方に分れ、上方だけでその総田数は二六、七町に及んでいた。包近という名称は、本来名田名主の名前(仮名)で、平安時代に和泉国の公領を分割して設けた、いわゆる別名に由来する。それは山直郷だけでなく、上泉かみついずみ(現和泉市)にも存在したから、おそらく和泉国府(上泉郷に所在)近辺を中心にして、和泉郡(鎌倉時代以降は和泉・南の二郡に分割)の諸郷に分布した国衙関係の在庁名田であったと思われる。包近の名の初見は、宝治二年(一二四八)一二月五日の関東下知状(久米田寺文書)で、そこには山直郷四ヵ里に包近領があり、当時、遠江前司盛連後家がその地頭であったことが記されている。この遠江前司盛連は相模の三浦氏の一族佐原盛連で、その父佐原十郎義連(三浦義澄の弟)は建久年間(一一九〇―九九)頃から建仁三年(一二〇三)まで和泉守護職を勤めた。承元元年(一二〇七)以後、守護職が後鳥羽上皇の手に移り、仙洞御計となってからも、和泉国御家人の大番催促など指揮権は前守護義連の子盛連が握っていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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