化学親和力(読み)カガクシンワリョク(英語表記)chemical affinity

デジタル大辞泉 「化学親和力」の意味・読み・例文・類語

かがく‐しんわりょく〔クワガク‐〕【化学親和力】

化合物をつくる際に元素間に働くと考えられる結びつきやすさ。化学反応に伴う発熱量などが尺度とされたが、現在では熱力学的に定義され、自由エネルギー減少とされる。

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精選版 日本国語大辞典 「化学親和力」の意味・読み・例文・類語

かがく‐しんわりょく クヮガク‥【化学親和力】

〘名〙 化学反応を推進させるに必要な力。物質は互いに化学親和力をもつ場合に反応する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「化学親和力」の意味・わかりやすい解説

化学親和力
かがくしんわりょく
chemical affinity

物質間で化学的な相互作用をする能力、あるいは、その際に得られた化合物がもとのものに比べたときの安定性の度合いなどを表す古典的な用語。化学親和力の大きさは、時代によって違った熱力学量で表されてきた。19世紀のなかばには、化学反応の際に生ずる熱量が親和力の尺度として使われたが、自発的な吸熱反応が存在することから一般性に欠けることがわかった。

 1883年オランダのファント・ホッフは熱力学の第二法則を使って、次のように定義した。すなわち反応が自発的におこる方向と生成物の安定性は、反応の発熱量(エンタルピー変化)によって決まるのではなく、最大仕事によって決まることを示した。現在では、最大仕事のかわりに、定温定圧の反応の場合にはギブスの自由エネルギーの減少が、また、定温・定積の場合にはヘルムホルツの自由エネルギーの減少が、化学親和力の尺度として用いられている。

[戸田源治郎]

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百科事典マイペディア 「化学親和力」の意味・わかりやすい解説

化学親和力【かがくしんわりょく】

化合物ができるのは各原子間にそれぞれの親和力が働くからだと考え,これを化学親和力と呼ぶ。化学親和力の尺度には種々あり,初め反応熱がとられたが,後には化学反応が進む際の自由エネルギーの減少価として定義され,等温等容変化ではギブズの自由エネルギー,等温等圧変化の場合はヘルムホルツの自由エネルギーを用いる。

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化学辞典 第2版 「化学親和力」の解説

化学親和力
カガクシンワリョク
chemical affinity

[同義異語]親和力

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世界大百科事典(旧版)内の化学親和力の言及

【化学反応】より

…ギリシアのエンペドクレスは愛と憎でこれを説明し,ヒッポクラテスはものとものとの親近性の結果として起こると考えた。これが化学反応を起こす原因となる化学親和力chemical affinityの概念の芽生えであった。スウェーデンのベリマンT.O.Bergman(1735‐84)は,多数の酸と塩基の組合せについて,相互に置換しあう酸と塩基の相対的な能力の差によって化学親和力の大きさを評価できると考えた。…

※「化学親和力」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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