日本大百科全書(ニッポニカ) 「北条砂丘」の意味・わかりやすい解説
北条砂丘
ほうじょうさきゅう
鳥取県中央部、天神(てんじん)川河口の東西に発達した海岸砂丘で、東部では潟湖(せきこ)東郷(とうごう)池を抱く。東西約13キロメートル、幅1.6キロメートル、標高約30メートル内外で三砂丘列からなる。孤立峰茶臼(ちゃうす)山など安山岩類の旧島嶼(とうしょ)群を基盤とし、岩床上に下部から古砂丘層、大山(だいせん)新旧ローム層、黒ぼく層、黒砂(くろずな)層を挟む現砂丘層がのり、その下の長瀬高浜遺跡では弥生(やよい)~古墳期の大集落跡が発見された。砂丘裏の防砂風林列の南縁には農業集落がほぼ等間隔に立地し、沿海の砂丘裏には江戸末期の江北(えぎた)新田がある。砂丘は、天神川から取水する動力灌漑(かんがい)や圃場(ほじょう)整備、国道9号バイパスの開通などにより、葉タバコ、砂丘ナガイモ、ブドウの集団産地化し、東部は東郷湖羽合(はわい)臨海公園となっている。
[岩永 實]