天神川(読み)テンジンガワ

デジタル大辞泉 「天神川」の意味・読み・例文・類語

てんじん‐がわ〔‐がは〕【天神川】

鳥取県中央部を流れる川。東伯とうはく三朝みささ町の津黒つぐろ山(標高1118メートル)に源を発する竹田川が北流して小鴨おがも川などの支流を合わせ、同郡湯梨浜ゆりはま町と北栄ほくえい町の境で日本海に注ぐ。長さ32キロ。中・下流域は倉吉平野。海岸に北条砂丘湯梨浜町潟湖せきこ東郷池がある。

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日本歴史地名大系 「天神川」の解説

天神川
てんじんがわ

現北区鷹峯大谷たかがみねおおたに町付近に源流し、上京・中京・右京・下京の各区をほぼ南流して南区吉祥院きつしよういんで桂川に流入する。江戸時代までは紙屋かみや川の名が一般的であった(現在は鷹峯千束せんぞく町以南を天神川と称し全長約一四・二四キロ、上流端から千束町までを紙屋川とよぶ)。

紙屋川は「雍州府志」に、「紙屋川、在北野社西、源出千束村北、南経吉祥院、自下鳥羽西淀川、北野南有宿紙村、古於斯川宿紙、故号紙屋川云」とある。

紙師は宿紙しゆくし村といわれるところに住み、川のほとりにあった紙屋院かみやのいんの管理のもとに勤番で紙を漉いたので、宿紙といい、多少の墨の色が残るので薄墨紙、あるいは黒紙こくしともよばれ、この紙に記した宣旨を薄墨の宣旨ともいう(山州名跡志)。「源氏物語」蓬生の巻に「うるはしき紙屋川、陸奥紙などのふくだめるに、ふることども、目馴れたるなどは、いとすさまじげなるを、せめてながめ給ふをりをりは引ひろげ給ふ」とみえる。


天神川
てんじんがわ

県中部を流れる一級河川。中国山地の津黒つぐろ山北東麓に源を発して北流、三朝みささ本泉もといずみ付近で東方から流れてきた三徳みとく川を合せて倉吉平野に出る。倉吉市北東部の田内たうちで大山北東斜面に発し北東流してきた小鴨おがも川を合流、さらに北流して日本海に注ぐ。流路延長は約三四キロ、指定延長三一・七キロに及び、県下三大河川の一つ。天神川水系の河川数は三二、河川延長は約一八二・七キロで流域面積は五〇〇平方キロ。流域には中国山地の高山の脊梁部に属する三朝町関金せきがね町と、中国山地から北の日本海に向かって連続する丘陵性山地によって東西に仕切られた盆地性の台地や、平野部の多い倉吉市の農村地帯が展開する。小鴨川との合流点より上流部は竹田たけだ川とよばれ、「伯耆民談記」ではこの竹田川と小鴨川を合せて天神川とよんでいる。下流部は中世には長瀬ながせ川と称され、「陰徳太平記」には天正八年(一五八〇)吉川方の杉原盛重父子・山田信直らが、南条方と「長瀬川を隔て弓鉄砲を以て迫合」ったとみえる。一方、久米くめ北条ほうじよう郷と河村かわむら郡の境界の川として、北条川の通称もあった。

古代の下流部の自然河道は海岸部の堆積流砂にはばまれて、東側の現倉吉市海田かいだ福庭ふくば清谷せいだに大平おおひら山西側山裾を蛇行しながら田後たじり山北端から東へ向かい東郷とうごう池の西岸に流れ込んでいたとみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「天神川」の意味・わかりやすい解説

天神川
てんじんがわ

鳥取県の中央部を流れ日本海に注ぐ川。一級河川。延長32キロメートル。流域面積490平方キロメートル。中国山地の津黒(つぐろ)山、三国(みくに)山、大山(だいせん)に源を発して北流し、倉吉(くらよし)平野を縦断して湯梨浜(ゆりはま)町西端で日本海に流入する。かつては東へ曲流して橋津(はしづ)で日本海に注いだが、下流路は、寛文(かんぶん)年間(1661~1673)の改修で現在の流路となった。構造線に沿う竹田(たけだ)川(上流部の別称)、支流の三徳(みとく)(三朝(みささ))川、小鴨(おがも)川には約三段の段丘が発達する。上流の三徳山付近の渓谷や小鹿渓(おしかけい)(国の名勝)は谷頭侵食部にできたもの。小鹿渓の上流には中津(なかつ)ダムと平家村の中津がある。河口東岸の北条(ほうじょう)砂丘裏には埋め残しの海跡湖東郷(とうごう)池がある。

[岩永 實]


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改訂新版 世界大百科事典 「天神川」の意味・わかりやすい解説

天神川 (てんじんがわ)

鳥取県中部を北流する川。岡山県境に近い三朝(みささ)町南端の津黒山に源流部があり,中流部で小鹿川,小鴨(おがも)川を合わせ,湯梨浜町の旧羽合(はわい)町長瀬付近で北条砂丘を横切って日本海に注ぐ。幹川流路延長32km,全流域面積500km2。下流域には倉吉平野北条平野が展開する。かつて長瀬から東流して橋津に流れて日本海に注いでいたが,元文年間(1736-41)に北条砂丘を開削して現在の流路とした。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天神川」の意味・わかりやすい解説

天神川
てんじんがわ

鳥取県中部を北流する川。岡山県との県境にある津黒山 (1118m) に源を発し,途中で小鹿川,小鴨川などを合わせて湯梨浜町で日本海に注ぐ。全長約 32km。上流部では標高 600mの隆起準平原面を深く浸食して峡谷を形成し,下流では倉吉平野を形成。灌漑に利用され,米作,ナシ栽培が発達。本・支流沿岸には古墳,国分寺跡山岳信仰の中心である三徳山 (国指定名勝・史跡) ,小鹿渓 (国指定名勝) ,三朝温泉北条砂丘などがある。

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百科事典マイペディア 「天神川」の意味・わかりやすい解説

天神川【てんじんがわ】

鳥取県中部の川。長さ32km,流域面積490km2。大山東部に発して北東流する小鴨(おがも)川を上井(あげい)で合し倉吉平野を形成,日本海に注ぐ。支流三朝(みささ)川の上流には小鹿渓(名勝)がある。
→関連項目鳥取[県]北条[町]三朝[町]

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世界大百科事典(旧版)内の天神川の言及

【宍道湖】より

…このころの湖は面積は現在の約1.5倍,塩分の濃度も高かったとみられるが,はんらんと河道の変遷をくり返してきた斐伊川が寛永年間(1624‐44)に東流して湖に注ぐようになってから,上流の鉄穴流(かんなながし)(たたら製鉄用の砂鉄採取)の影響もあって土砂が堆積して湖面は縮小し,塩分も減少した。一方,斐伊川の流入は西岸の三角州の成長を進める反面,東岸の松江にしばしば洪水の被害をもたらしたので,1689年(元禄2)に大橋川の南に並行して天神川が開かれ,1787年(天明7)には日本海に直接注ぐ排水路として佐陀(さだ)川が島根半島を横切って開かれた。両水路とも現在は排水量は少ない。…

【松江平野】より

…島根県北東部,島根半島南側の宍道(しんじ)低地帯にあり,宍道湖中海にはさまれた平野。中央には両湖を結ぶ大橋川,天神川などが流れ,主として西部に広がる沖積低地に松江市街地が立地し,東部は低い丘陵地となっている。《出雲国風土記》にある〈入海(いりうみ)〉の一部だったところで,第三紀後半に嫁ヶ島や茶臼山,洪積世末に嵩(たけ)山や和久羅山が形成され,のちこの間の浅海が埋積されて平野が形成された。…

※「天神川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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