千丈の堤も蟻穴より崩るる(読み)せんじょうのつつみもぎけつよりくずるる

精選版 日本国語大辞典 の解説

せんじょう【千丈】 の 堤(つつみ)も=蟻穴(ぎけつ・ありあな)[=螻蟻(ろうぎ)の一穴(いっけつ)]より=崩(くず)るる[=潰(つい)ゆ]

  1. ( 「韓非子‐喩老」の「千丈之堤以螻蟻之穴潰、百尺之室以突隙之烟焚」による語 ) 千丈もある堅固な堤も、小さなアリケラの穴がもとでくずれる。小さな誤りやわずかな油断がもとで、大事をひきおこしたり失敗したりすることのたとえ。千丈の堤も蟻の一穴。蟻の穴から堤も崩れる。〔土井本周易抄(1477)〕
    1. [初出の実例]「千丈(センヂャウ)の堤(ツツミ)も螻蟻(ロウギ)の一穴(いっケツ)より崩(クヅ)るる習ひ、今大望の際となり、万一変心などなすものあって事の破れに及ぶ時は」(出典:歌舞伎・四十七石忠矢計(十二時忠臣蔵)(1871)序幕)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

故事成語を知る辞典 の解説

千丈の堤も蟻穴より崩るる

小さな誤りやわずかな油断がもとで、大事を引き起こしたり失敗したりすることのたとえ。

[使用例] こちらの家庭への口出しや、経済的、物質的に何かを受けとることは、孫へのオモチャさえ断わったことがあるほど頑固に拒んだ。蟻の穴から堤が崩れるということもある[中坊公平*金ではなく鉄として|2002]

[由来] 「韓非子ろう」の一節から。世の中の大事件は必ず些細なことから生じていると述べたあと、「千丈の堤も、ろうの穴をもっついゆ(千丈もある堅固な堤も、小さなケラやアリの穴がもとで崩れる)」と続けています。なお、「丈」は昔の長さの単位で、当時の千丈は、約二・五キロメートルにあたります。

〔異形〕蟻の穴から堤も崩れる。

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