大事(読み)ダイジ

デジタル大辞泉 「大事」の意味・読み・例文・類語

だい‐じ【大事】

[名]
重大な事柄。容易でない事件。「国家の大事
大がかりな仕事。大規模な計画。「大事を成す」「大事を企てる」
たいへんな結果。非常に心配な事態。「大事に至らないで済む」
出家して悟りを開くこと。
「―を思ひたたん人は」〈徒然・五九〉
[形動][文][ナリ]
価値あるものとして、大切に扱うさま。「大事な品」「親を大事にする」「どうぞ、お大事に」
重要で欠くことのできないさま。ある物事の存否にかかわるさま。「大事な用を忘れていた」「今が大事な時期だ」
大切たいせつ[用法]
[類語]1事物事象物事現象出来事余事余所よそ他事他人事人事ひとごと雑事諸事事件時事事柄事故異変大変急変変事大事おおごと小事細事些事世事俗事私事しじ私事わたくしごと用事用向き用件所用用務小用こよう・しょうよう野暮用雑用私用公用社用商用急用多用主用珍事不祥事アクシデントハプニングセンセーション/(2大事おおごと一大事・重大事・大変本丸一丁目一番地2重要大切肝心肝心かなめ肝要切要緊要喫緊重大主要須要しゅよう必須ひっす不可欠得難い貴重珍重珍しい貴い稀有高貴異色異彩珍貴珍稀枢要かなめきも有意義意義深い千金耳寄り掛け替えのない

おお‐ごと〔おほ‐〕【大事】

重大な出来事。大きな影響を与える事件。「大事にならずに済む」「そりゃ大事だ」
[類語]大事だいじ一大事事物事象物事現象出来事余事余所よそ他事他人事人事ひとごと雑事諸事事件時事事柄事故異変大変急変変事小事細事些事世事俗事私事しじ私事わたくしごと用事用向き用件所用用務小用こよう・しょうよう野暮用雑用私用公用社用商用急用多用主用珍事不祥事アクシデントハプニングセンセーション

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精選版 日本国語大辞典 「大事」の意味・読み・例文・類語

だい‐じ【大事】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 重要で、根本にかかわる事柄。大事件。大事業。
      1. [初出の実例]「十七曰。大事不独断、必与衆宜論」(出典:十七箇条憲法(604))
      2. 「何時にても国家の大事を担当するに足るべき準備を整頓するにあり」(出典:雪中梅(1886)〈末広鉄腸〉上二)
      3. [その他の文献]〔易経‐遯卦〕
    2. 仏語。修行して悟りを開くこと。出家すること。
      1. [初出の実例]「是れ程の心不発して仏道と云ふ程の一念に、生死輪廻をきる大事をば、如何が成ぜん」(出典:正法眼蔵随聞記(1235‐38)三)
      2. 「大事を思ひ立たん人は、去りがたく、心にかからん事の本意を遂げずして、さながら捨つべきなり」(出典:徒然草(1331頃)五九)
    3. 寺院や法流にとって重要な修法や作法
      1. [初出の実例]「報物集云〈略〉故僧正御房大事御書一向西南院伝候。答、不然。故覚洞院相伝大事等一切不動。遍智院経蔵大法つし有地」(出典:醍醐寺新要録(1620))
    4. 技芸などの真髄や、それにかかわる大切な事柄。芸道における秘伝秘事など。
      1. [初出の実例]「さて囃子の大事には、関寺小町乱拍子、猩々の乱れなり」(出典:仮名草子・竹斎(1621‐23)上)
    5. ( 形動 ) 普通の状態ではなく、困ったりてこずったりする物事。また、そういうさま。
      1. (イ) 困難なこと。手ごわいこと。
        1. [初出の実例]「但し其は楽人など呼び下すは、大事なれば否(え)呼び不給じ」(出典:今昔物語集(1120頃か)二八)
        2. 「たとひ大事の悪霊なりとも、行者の法力尽くべきかと」(出典:謡曲・葵上(1435頃))
      2. (ロ) 危険なこと。生死にかかわる一大事。
        1. [初出の実例]「みな大事にもなくて、一方のたすかるすぢあるを かたやすとはいへるにや」(出典:名語記(1275)二)
        2. 「もしも運つき頼家公御大事とならんとき、これ、この龍頭の兜を着し、君に代って討死せん」(出典:浄瑠璃・近江源氏先陣館(1769)六)
      3. (ハ) 命にかかわるほど、病気や傷が重いこと。危篤。重傷。
        1. [初出の実例]「いと大事にはあらねど、起き臥しなやみ給ふを」(出典:落窪物語(10C後)三)
      4. (ニ) 不都合なこと。いけないこと。さしさわり。→だいじない
        1. [初出の実例]「いやしからるるとも、両人がしかられう程に、大事じゃ、何とぞたくましめ」(出典:虎明本狂言・文荷(室町末‐近世初))
        2. 「お武家方の前へ袴も着ずに、こんな形で出るもをかしいものだ。大事(ダイジ)あるまいか」(出典:歌舞伎傾情吾嬬鑑(1788)序幕)
  2. [ 2 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙
    1. かけがえのないものとして大切にするさま。また、かけがえのないさま。
      1. [初出の実例]「やむごとなき親王の大事にし給ふことなれば」(出典:大鏡(12C前)二)
      2. 「昼は家職を大事(ダイジ)につとめ、夜は内を出ずして」(出典:浮世草子日本永代蔵(1688)一)
    2. 評価して心にとめるべきさま。重要で根本にかかわるさま。「大事な点」「大事な問題」など。
      1. [初出の実例]「大事の異見を申すべきほどに、左右の人をしりぞけられよ」(出典:中華若木詩抄(1520頃)上)

おお‐ごとおほ‥【大事】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「おおこと」とも ) めったにない重大なこと。規模や影響の大きな事件。大変。大事件。一大事。〔易林本節用集(1597)〕
    1. [初出の実例]「一二年の中に有附けば好けれど長引かれると大事(オホゴト)になる」(出典:二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉下)

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普及版 字通 「大事」の読み・字形・画数・意味

【大事】だいじ

祭祀戎事をいう。〔左伝、成十二年〕國の大事は祀と戎とに在り。祀に執膰(しつぱん)(祭肉を頒(わか)つ礼)り、戎(じう)に受り。の大なり。

字通「大」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の大事の言及

【仏教】より

…これを結集(けつじゆう)と呼ぶ。釈迦の誕生・成道・初転法輪・入滅は仏伝中で四大事跡とされ,その記念の地,すなわちカピラバストゥ郊外のルンビニー園,ブッダガヤーの菩提樹下,ワーラーナシー郊外の鹿野苑,そしてクシナガラは聖地として,後世,信徒の巡礼の地となった。 釈迦の生存年代について,学界では前6~前5世紀説(《衆聖点記》などの説による前566‐前486)と,前5~前4世紀説(中村元説では前463‐前383)とがある。…

【仏教文学】より

… サンスクリット仏教文学は紀元前後から現れはじめ,内容的には仏伝,讃仏,比喩に大別することができる。《マハーバストゥ(大事)》《ラリタビスタラ》などは主としてこのうちの仏伝文学といえる。しかし,仏陀を超人的存在とみなし,多くの説話や比喩を挿入するなど,パーリ語のそれとは趣を異にする。…

※「大事」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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