南国太平記(読み)ナンゴクタイヘイキ

デジタル大辞泉 「南国太平記」の意味・読み・例文・類語

なんごくたいへいき【南国太平記】

直木三十五の長編時代小説。幕末薩摩藩、島津家で起きたお家騒動を題材とする。昭和5年(1930)から昭和6年(1931)にかけて、大阪毎日新聞東京日日新聞連載単行本は昭和6年(1931)に前・中・後の3巻で刊行。数多くの映画化作品がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「南国太平記」の意味・わかりやすい解説

南国太平記
なんごくたいへいき

直木三十五(さんじゅうご)の長編小説。1930年(昭和5)6月から翌年10月にかけて『大阪毎日新聞』『東京日日新聞』に連載。前・中編は31年誠文堂刊、後編は同年番町書房刊。島津斉興(なりおき)の世子斉彬(なりあきら)を廃し、斉興の愛妾(あいしょう)お由良(ゆら)の子久光(ひさみつ)を藩主にしようと画策する上士階級と、聡明(そうめい)な斉彬を世継ぎにと願う軽輩の武士階級との対立抗争として知られている幕末の薩摩(さつま)藩の御家騒動、いわゆるお由良騒動を素材にしている。激動する幕末維新の時代相を背景に、斉彬をめぐる上士・下士の二階級の争闘がスピーディーな文体で生き生きととらえられている。

磯貝勝太郎

『『南国太平記』全二冊(角川文庫)』

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世界大百科事典(旧版)内の南国太平記の言及

【直木三十五】より

…31歳のおり三十一の筆名を用いて以後三十二,三十三と改め,三十五で定着した。はじめは文壇ゴシップなどを書いたが,敵討物に傾倒したのを手始めに時代小説を手がけ,《仇討浄瑠璃坂》(1929),《荒木又右衛門》(1930)などを発表,薩摩藩のお由羅騒動に材をとった《南国太平記》(1931)で不動の地位をかためた。そして時代小説の領域を広げ,リアルな表現で人気を博した。…

※「南国太平記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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