南洋諸島委任統治問題(読み)なんようしょとういにんとうちもんだい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「南洋諸島委任統治問題」の意味・わかりやすい解説

南洋諸島委任統治問題
なんようしょとういにんとうちもんだい

第1次世界大戦の対独参戦の結果日本の占領した旧ドイツ帝国領南洋諸島 (マリアナ,カロリン,マーシャルなどの諸島) をめぐる戦後処理。日本は 1914年8月 15日対独最後通牒を発し,同 23日対独宣戦を布告,10月ドイツ領南洋諸島を占領した。日本はベルサイユ会議において,赤道以北ドイツ領南洋諸島の割譲とドイツ利権の継承を,山東問題とともに最も重視した。日本側はあらかじめ 17年2月にイギリスから,続いてフランス,ロシア,イタリアからも講和会議における要求への支持を取付けていた。しかし,旧ドイツ領の植民地化要求はフランスなどとともにアメリカ全権 W.ウィルソンの反対にあい,会議は劈頭から暗礁に乗上げることとなった。この解決方式としてイギリス全権 J.スマッツ将軍によって提案されたのが,A,B,C3級による信託統治方式であった。C級地域は「信託地域であるが受任国領土の構成部分としてその国法のもとに施政を行う」地域とされた。日本政府,ウィルソンの反対などがあったが結局この妥協が受入れられた。これによって,日本が占領中の南洋諸島についてもこのC級地域とされ,かつその受任国を占領国とすることで決着をみた。以後この地域は 45年の日本の敗戦にいたるまで日本の統治地域の一部をなした。

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