国家間の合意による領土の一部の移転。これに対し,領土の全部の移転を併合といい,両者をあわせて譲渡という。合意は,通常の場合条約を結ぶことにより表現される。日本が日清戦争の平和条約(1895)で台湾,澎湖諸島を取得し,日露戦争の平和条約(1905)で南樺太を取得したのがその例。このように,割譲は戦争の結果としてなされることが多いが,平和的交渉により,贈与,交換,売買などの形でもなされる。1875年に,日本とロシアが北千島と南樺太を交換したのがその例である。
最近では,割譲に際して地域住民の意思を問うこと(人民投票)が多いが,一般的な条件ではなく,単に参考として考慮されるにすぎない。割譲の効果として,原則として,譲渡国の国籍をもつ地域住民はその国籍を失い,譲受国の国籍を取得するが,最近では,条約で住民に国籍選択権を認めることも多い。割譲により,割譲地に関する条約上の権利義務が一般的に承継されることはない。
執筆者:尾崎 重義
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
国家領域の得喪(とくそう)の一方式で、ある国の領域の一部が合意によって他の国に移転することをいう。割譲は、戦争を処理するために行われる場合と、平時における交渉に基づいて行われる場合とがある。前者の場合には、講和(平和)条約により、戦敗国の領域の一部が戦勝国に譲り渡される。ただし、1952年(昭和27)の対日平和条約で、日本はすべての海外領土を放棄したが、どの国に対して放棄したかは明記されなかったため、北方領土の地位など不明確な問題をのちに残した。平時になされる割譲は、贈与、交換、売買などによって生じるが、最近ではあまり行われない。かつての例では、1875年(明治8)に日本とロシアが合意した樺太(からふと)・千島の交換や、1803年のアメリカによるフランスからのルイジアナ購入が有名である。また、割譲地住民の意思が問題とされ、住民投票の実施が定められることがある。割譲の結果、住民は譲渡国の国籍を失って、譲受国の国籍を得るのが普通であるが、当事国間に別段の合意があればそれによる。
[太寿堂鼎・広部和也]
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