改訂新版 世界大百科事典 「印象派美術館」の意味・わかりやすい解説
印象派美術館 (いんしょうはびじゅつかん)
Musée de l'Impressionnisme
正式名はルーブル美術館付属ジュ・ド・ポーム・ギャラリーGaleries du Jeu de Paumeであるが,印象派の作品を収蔵してあるためこう呼ばれる。建物はルーブル本館の西,テュイルリー公園内の北西隅にあり,コンコルド広場に面している。1862年に室内遊戯場として建てられ,1927年より国立近代美術館別館,47年より印象派の作品の展示館となり,54年に改修のため閉館し,58年に新装開館された。収蔵品は寄贈品が多く,1890年に人々の募金で国家に寄贈されたÉ.マネの《オランピア》をはじめ,画家カイユボットG.Caillebotte(1883),モロー・ネラトンÉ.Moreau-Nélaton(1906),イザーク・ド・カモンドI.de Camondo伯(1908)などの大コレクターの寄贈によって,とりわけ初期のものが充実している。印象派の評価が定まってからはE.ドガの《ベレーリ家の人々》,C.モネの《庭の女たち》などの購入作品も加わった。収蔵範囲はバルビゾン派から後期印象派にまでわたっている。86年8月18日に閉館され,収蔵品の大部分は同年12月オープンしたオルセー美術館Musée d'Orsayに引き継がれた。
執筆者:馬渕 明子
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