日本大百科全書(ニッポニカ) 「卵形線」の意味・わかりやすい解説
卵形線
らんけいせん
oval
平面上の単一閉曲線で、内部のどの二点についてもそれらを結ぶ線分上の点はすべてまた内部にある、という曲線をいう。卵形線の研究は19世紀末から組織的に始められたが、実関数論、変分学、位相幾何学(トポロジー)、微分幾何学など多方面の数学に関連する。日本でも大正時代に大いに研究され、当時ブラシュケWilhelm Blaschke(1885―1962)を中心とするドイツのハンブルク大学のメンバーと林鶴一(つるいち)、藤原松三郎(1881―1946)、掛谷宗一(かけやそういち)、窪田忠彦(くぼたただひこ)らを擁する東北大学のメンバーが研究を競い合った。
卵形線に関する2、3の定理をあげておこう。「与えられた長さをもつすべての卵形線のなかで、最大の面積をもつのは円である」。この定理の種々の拡張があり、この種の問題を等周問題という。「長さlの線分がその中で1回転できる最小面積の卵形線は高さlの正三角形である」。
卵形線を表す関数に微分可能性を仮定し、その曲率が停留値をとる点を頂点とよべば、「卵形線上には少なくとも四つの頂点が存在する」。この定理を四頂点定理という。
[立花俊一]