原始環虫類(読み)げんしかんちゅうるい

精選版 日本国語大辞典 「原始環虫類」の意味・読み・例文・類語

げんしかんちゅう‐るいゲンシクヮンチュウ‥【原始環虫類】

  1. 〘 名詞 〙 環形動物門原始環虫綱に属するものの総称、または、多毛綱うちの小型で単純な形態を示すものの総称。ムカシゴカイなど、退化あるいは幼形のまま発育のとまった性質をもったものが含まれる。二~三本の触手をもち、各体節には簡単な剛毛束がある。大部分海底砂中で生活するが、淡水産のものもある。原環虫類。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「原始環虫類」の意味・わかりやすい解説

原始環虫類
げんしかんちゅうるい

環形動物門の1綱で、もっとも体の構造が簡単な動物群。原始環虫類Archiannelidaは多毛類の退化したものか、あるいは幼形のまま発達の止まったものと考えられている。体は細長く、大きな種類で体長8センチメートル、小形の種類では5ミリメートルほどにしかならない。体節は体内で発達していて、外からはっきりしない場合が多い。頭には2、3本の感触手、眼点、感触器などがあり、おのおのの体節には小さないぼ足と剛毛がある。いぼ足をもたない種類もあるが、それらは腹側に並んでいる繊毛で滑るように移動する。一般に雌雄異体。幼生はトロコフォラから変態しながら体節が増加し、後端部が長くなった幼生をロベーン幼生という。食物としては砂の中の微小藻類を食べる。世界で90種ほど知られ、大部分が海岸の砂の中にすむが、地下水、泉、洞窟(どうくつ)などからも発見されている。干潮線砂地にはムカシゴカイがよくみられ、刺激すると体を螺旋(らせん)状に巻く。

[今島 実]

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