日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
原子力災害医療・総合支援センター
げんしりょくさいがいいりょうそうごうしえんせんたー
原子力規制委員会が策定した原子力災害医療体制の一つで、高度被ばく医療支援センターと同様に、原子力災害拠点病院では対応できない高線量被曝(ひばく)患者の治療を受けもつ機関。また、自らが保有する原子力災害医療派遣チームの編成、被災地域で同チームが効果的に活動できるような派遣調整、情報の提供および交換、地域の原子力災害拠点病院との連携、協力体制を強化するネットワーク構築等を行っている。
おもな業務は、先にも述べたとおり、原子力災害拠点病院では対応できない高線量被曝患者の治療を行うことであり、骨髄移植や重症やけど等の治療が可能な高度救命救急センターとしての診療体制を備え、無菌室なども設置されており、定期的な職員の研修や訓練が義務づけられている。
もう一つのおもな業務は、派遣調整・地域支援であり、情報収集や支援のために必要な人員を置き、通信設備や、現地情報の提供のために使用する衛星通信装備車両などを備えている。また派遣チーム構成員に対する教育研修等を実施している。
原子力規制委員会は、2015年(平成27)弘前(ひろさき)大学、福島県立医科大学、広島大学、長崎大学を原子力災害医療・総合支援センターに指定したが、いずれも高度被ばく医療支援センターとの二重指定である。
[編集部 2021年11月17日]