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原子力規制委員会(読み)げんしりょくきせいいいんかい(英語表記)Nuclear Regulatory Commission; NRC

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

原子力規制委員会
げんしりょくきせいいいんかい
Nuclear Regulatory Commission; NRC

アメリカ合衆国内における核物質民生利用を監督する独立の規制機関。ジェラルド・R.フォード政権下の 1974年,アメリカ原子力委員会 AECが二分されたことに伴い設立。AECは廃止された。AECの業務のうち,民生用の核物質や核施設が安全に使用され,公衆の健康や環境に悪影響を及ぼさないように監督する任務を引き継いだ。アメリカ国内に多数存在する商用原子炉を監督の対象とし,新規の原子炉に建設認可を与え,操業中も継続して規制にあたる。おもな任務は,核物質の利用,処理,取り扱い,廃棄等の監督,原子力発電所の視察および安全手順,安全対策の監視,安全基準の遵守徹底,事故発生時の調査など。委員は大統領によって任命される。

原子力規制委員会
げんしりょくきせいいいんかい

原子力利用における安全を確保するための規制を担う国の行政組織。2012年,環境省外局として発足し,事務局として原子力規制庁が設置された。原子炉や核燃料物質などの使用に関する安全規制,事故発生時の対応,緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム SPEEDIの運用を含む環境モニタリングの司令塔機能などを一元的に担う。2011年の福島第一原子力発電所事故により,原子力利用における縦割り行政の弊害に加え,原子力利用の推進と規制という相反する機能をともに経済産業省が担う矛盾が露呈。こうした問題を解消するため,経済産業省の原子力安全・保安院と内閣府の原子力安全委員会,および文部科学省国土交通省に分散していた原子力安全行政を一元化した。内閣総理大臣が任命する委員長および 4人の委員で構成され,任期は 5年。

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知恵蔵の解説

原子力規制委員会

原子力利用における安全の確保を図るため必要な施策を策定し、これらを実施する事務を一元的につかさどる行政機関。2012年に公布された原子力規制委員会設置法により、同年9月に発足した。環境省の外局であり、専門的知見に基づいて中立公正な立場で独立して職権を行使するものとして設置。同委員会の事務局として原子力規制庁が置かれた。
同委員会、同庁の前身である「原子力安全・保安院」は、エネルギー政策を推進する立場の資源エネルギー庁(経済産業省の外局)の機関だった。このため、11年3月の福島第一原子力発電所事故に際して、同院は原子力利用を推進する前提での規制しかできていなかったのではないかとの批判がなされた。また、このほか内閣府の原子力安全委員会や文部科学省原子力安全課などの機関が、それぞれ異なる立場で原子力行政に関わっていた。これらのことから、縦割り行政の弊害を除去すること、また1つの行政組織が推進と規制の両方の機能を担うことにより生ずる問題を解消することが課題となった。このなかで、原子力基本法の見直しが行われ、原子力の安全確保に関する規制の一元化をはかる、独立性の高い機関として原子力規制委員会・原子力規制庁が設置された。委員長及び委員は、人格が高潔であって、原子力利用における安全の確保に関して専門的知識及び経験ならびに高い識見を有する者のうちから、衆参両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。また原子力産業に携わる業者、役員・使用人その他の従業員は、これに就任できない。原子力規制委員会委員長には田中俊一日本原子力学会元会長、原子力規制庁長官には池田克彦元警視総監がそれぞれ初代として就任した。福島原発事故では情報発信のありかたも問題となったため、原子力規制委員会では議事や資料、議事録などを原則として公開する、新聞・テレビだけでなくインターネットメディアやフリーランスの記者にも控室を用意し、委員長の記者会見はインターネットで中継するなど情報公開を進めていくとしている。

(金谷俊秀  ライター / 2012年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

原子力規制委員会

東京電力福島第一原発の事故を受け、新たに原発の安全規制を担う国の機関として昨年9月に発足した。原子力推進の経済産業省から原子力安全・保安院を切り離し、内閣府原子力安全委員会と統合した。環境省の外局で、公正取引委員会と同じ国家行政組織法3条に基づく「3条委員会」として独立性を担保。委員5人は原子力工学や地震などの専門家で構成する。委員長は原子力委員会委員長代理などを務めた田中俊一氏。

(2013-07-09 朝日新聞 朝刊 2総合)

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デジタル大辞泉の解説

げんしりょくきせい‐いいんかい〔‐ヰヰンクワイ〕【原子力規制委員会】

原子力の安全規制を一元的に行う日本の行政機関。平成24年(2012)9月に環境省の外局として設置。原子力施設核燃料核原料物質の使用に関する規制のほか、核不拡散のための保障措置、核物質防護などの事務を所掌する。同委員会の発足に伴い原子力安全委員会原子力安全・保安院は廃止され、事務局として原子力規制庁が設置された。NRA(Nuclear Regulation Authority)。
エヌ‐アール‐シー(NRC)

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百科事典マイペディアの解説

原子力規制委員会【げんしりょくきせいいいんかい】

2012年6月に公布された原子力規制委員会設置法により,環境省の外局として設置され2012年9月に発足した政府機関。原子力利用の安全確保を図るため必要な施策を策定する。事務局として原子力規制庁が同時に設置された。原子力規制庁の前身である原子力安全・保安院は,エネルギー政策を推進する経済産業省資源エネルギー庁の機関であったため,一つの行政組織が推進と規制の両方の機能を担っていた。2011年3月の東京電力・福島第一原発事故における,原子力安全・保安院について,原子力利用を推進する前提での規制しかできていなかったのではないかとの厳しい批判が噴出した。さらに内閣府の原子力安全委員会や文部科学省原子力安全課などのさまざまな機関も,統合的機能をもたないまま原子力行政に深く関わっており,緊急かつ過酷事故への対処にあたって,こうした体制の限界が露呈したと批判された。事故後民主党政権下で原子力基本法の見直しが行われ,民主・自民・公明の3党合意を中心に原子力規制委員会設置法が成立,原子力の安全確保に関する規制の一元化をはかる,独立性の高い機関として原子力規制委員会・原子力規制庁が設置された。委員長及び委員は,原子力利用における安全の確保に関して専門的知識及び経験ならびに高い識見を有する人物で,衆参両議院の同意を得て,内閣総理大臣によって任命される。原子力産業に携わる業者,役員・使用人その他の従業員は就任できない,としている。初代原子力規制委員会委員長には田中俊一(日本原子力学会元会長),委員長代理に地震学者の島崎邦彦(東京大学名誉教授)が就任。原子力規制庁長官には池田克彦(元警視総監)が就任した。また福島第一原発事故で東京電力と原子力安全・保安院の情報発信のありかたも問題となったため,原子力規制委員会では議事内容や資料,議事録などを公表する先を,新聞・TVのマスメディアだけでなくインターネットメディアやフリーランス記者にも拡げ,委員長記者会見をインターネットで中継するなど情報公開を進める。2013年4月,原子力規制委員会は,同年7月から適用する新規制基準案を提示,既存原発についても過酷事故対策,地震・津波対策など厳しい基準を設定した。7月の新基準提示を受けて,各電力会社は原発の再稼働申請を開始した。2014年3月,原子力規制委員会は初の優先審査対象として九州電力川内原発1,2号機を選ぶと発表した。4月に行われた原子力規制委員会による現地調査でも新たな課題の指摘はなかった。2014年9月,島崎邦彦,大島賢三委員の退任にともない,原子力工学が専門の田中知(さとる)・元東京大学教授と地質学者の石渡明・元東北大学教授が委員に就任した。
→関連項目伊方原発エネルギー政策大飯原発大間原発女川原発柏崎刈羽原発玄海原発原子力発電志賀原発四国電力[株]島根原発川内原発中国電力[株]中部電力[株]敦賀原発東京電力[株]東北電力[株]泊原発日本原子力発電[株]東通原発北陸電力[株]美浜原発

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