厳羽(読み)ゲンウ

デジタル大辞泉 「厳羽」の意味・読み・例文・類語

げん‐う【厳羽】

中国、南宋文人邵武しょうぶ福建省)の人。あざな儀卿ぎけい、号は滄浪そうろう。その著「滄浪詩話」は宋の詩話のうち唯一の体系的詩論書で、禅によって詩を論じ、特に盛唐詩を尊んだ。および日本の詩人にも影響を及ぼした。生没年未詳。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「厳羽」の意味・わかりやすい解説

厳羽
げんう

生没年不詳。中国、宋(そう)代の詩論家。字(あざな)は儀卿(ぎけい)。号は滄浪逋客(そうろうほかく)。邵武(しょうぶ)(福建省)の人。生涯仕官せず、各地に遊び、隠士たちと交わって終わった。その学問は陸象山(りくしょうざん)の系列にあると思われる。彼の著『滄浪詩話』は、随筆的、寸評的な宋の詩話のなかで、唯一の体系的な詩論書である。彼は「詩に別材有り、書に関するにあらず、詩に別趣有り、理に関するにあらず」と、宋の詩が学識と説理に傾くのを退け、美的感興、情的興趣を詩の第一義として、その理想を唐の杜甫(とほ)と李白(りはく)においた。詩の根源的把握を妙悟という禅的感得に求める彼の興趣説は、清(しん)の王士禎(おうしてい)の神韻説の源流となるものである。詩集に『滄浪吟』があり、詩100余編を残している。そのなかに紹定年間(1228~33)に異民族が邵武を侵したとき、軍政のあり方に憤慨してつくった「庚寅(こういん)の乱を紀(しる)す」の詩がみえる。

[横山伊勢雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「厳羽」の意味・わかりやすい解説

厳羽
げんう

滄浪詩話」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の厳羽の言及

【滄浪詩話】より

…中国,南宋の厳羽の詩学の書。1230年ごろの著。…

※「厳羽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android