詩話(読み)しわ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

詩話
しわ

中国において詩に関する随筆的書物の総称。宋(そう)の欧陽修(おうようしゅう)の『六一(りくいつ)詩話』に始まり、以後続々と何々詩話と著者の号を冠したものが現れた。その内容は、詩派の源流を論じ、詩句に寸評を加え、詩の作法を説き、詩人の言行を記録するなど雑多なものがほとんどであるが、なかには宋の厳羽(げんう)の『滄浪(そうろう)詩話』や清(しん)の趙翼(ちょうよく)の『甌北(おうほく)詩話』のように体系だった記述をなしているものもある。ほかに格調派の明(みん)の謝榛(しゃしん)の『四暝(しめい)詩話』、神韻説の清の王士禎(おうしてい)の『帯経堂(たいけいどう)詩話』、性霊(せいれい)説の清の袁枚(えんばい)の『随園詩話』などが有名。詩話のほとんどは『歴代詩話』『歴代詩話続編』『清詩話』に収められており、それぞれの時代の詩意識をうかがうための好資料を提供している。

[横山伊勢雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

詩話
しわ
Shi-hua

中国,古典の評論書をいう。広義には鍾こうの『詩品』,唐の司空図の『二十四詩品』なども含めるが,通常は北宋欧陽修が詩の評論の随筆を『詩話』と題して以降,その名称のもとに続出した同様の形式の書をさす。いずれも詩に関する批評,解説,考証などを断片的に綴ったもので,系統的な理論を構築するのではなく,「座談題材を提供する」という欧陽修の立場を受継いでいる。清に入って何文煥の『歴代詩話』,丁福保の『続歴代詩話』などの叢書が出され,欧陽修の『六一詩話 (りくいつしわ) 』,明の厳羽の『滄浪詩話』など代表的作品はほぼ集められている。なおこの形式は日本でも盛んに行われ,おもな作品を収めたものに池田蘆州の『日本詩話叢書』 (1920~22) がある。

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精選版 日本国語大辞典の解説

し‐わ【詩話】

〘名〙 詩についての談話、評論。あるいは、詩や詩人についての逸話や説話。また、それらを集めた書物。
※実隆公記‐文明一三年(1481)正月一七日「天隠和尚入来、詩話等有興」 〔宋史‐芸文志五〕

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世界大百科事典 第2版の解説

しわ【詩話 shī huà】

中国において,正面切った詩論ないし詩学の書ではなく,エッセー風の評論の書を言う。詩の語法修辞押韻,作品の成立や作者の伝記の考証,作品にかかわる逸話全編あるいは一語一句の批評などを,概論的な体系を持たせずに書きつらねたものである。詩を話題とすることは,すでに先秦時代,孔子による《詩経》の論評にさかのぼる。またはるかに理論的に深められた六朝時代の劉勰(りゆうきよう)の《文心雕竜(ちようりよう)》,鍾嶸(しようこう)の《詩品》などがあるが,とくに詩話と呼ばれる書の開祖は,11世紀北宋の代表的文学者欧陽修の著《六一居士詩話》である。

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