友泉亭跡(読み)ゆうせんていあと

日本歴史地名大系 「友泉亭跡」の解説

友泉亭跡
ゆうせんていあと

[現在地名]城南区友泉亭

宝暦四年(一七五四)、福岡藩六代藩主黒田継高によって田島たしま(現樋井川)右岸に設けられた別荘(新訂黒田家譜)。「続風土記附録」などには設置の時期は寛延年中(一七四八―五一)とある。名称は福岡藩儒者の竹田定直が選んだ久世通夏の「世にたへぬあつさもしらすわき出る泉を友とむすふいほりを」の歌によって命名された(「続風土記附録」など)。友泉亭完成を記念して、継高が有栖川宮職仁親王以下一〇人に求めた友泉亭十景の詠歌集「眼界鐘秀」が「新訂黒田家譜」に収められている。往事の景観は「続風土記附録」などによると、南東に山々が連なり、北西には海上を遠望できる。庭園は樋井ひい川の水を導入した池泉回遊式庭園で、珍しい樹木や草花が植えられている。奇岩を積重ね、池の中島との間を石橋でつなぐ巧みな造園である。北方の丘には鎮守として八幡が祀られていた。真砂を敷いた白い散策路があり、春の花、夏の緑、蛙の声に蛍の火影、秋の紅葉、冬の雪、また月の夜、雪の朝など季節の景趣、自然の営みを表している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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