精選版 日本国語大辞典 「取上」の意味・読み・例文・類語
とり‐あ・げる【取上】
〘他ガ下一〙 とりあ・ぐ 〘他ガ下二〙
① 下にあるものを手に取って持つ。拾いあげる。
※万葉(8C後)一八・四一二九「針袋等利安宜(トリアゲ)前に置きかへさへばおのともおのや裏も継ぎたり」
※日葡辞書(1603‐04)「ヤク、または、チギャウヲ toriaguru(トリアグル)」
③ 取って自分のものにしてしまう。だましたり、腕にかけたりして奪い取る。ふんだくる。
④ 特に数えたてる。また、とりたてて問題にする。
※浮世草子・好色一代男(1682)一「取(トリ)あげて沙汰すべきやうなく」
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「彼様な奴の云ふ事を取上げるも大人気ないと思って」
※浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)三「其身を過分に取あげし安祿山など」
⑥ 意見、申し出などを採用する。申し出たことを受理する。
⑦ 産婦を介抱して子を分娩させる。また、育てる。
⑧ 髪をたぐりあげて結ぶ。また、髪を結い上げる。
※義経記(室町中か)五「かぶとをばぬいでたかひもにかけ、みだしたるかみとりあげ」
⑨ 髪上げを行なう。元服させる。
とり‐あげ【取上】
〘名〙
① 意見、申し出などを採用すること。
② 他人のものを無理に奪い取ること。没収すること。
③ 産婦を介抱して子を分娩させること。また、それを業とする人。取り上げ婆。
※雑俳・柳多留‐四六(1808)「取揚の飾をくぐる御年づよ」
④ 農作物をとり入れること。収穫。
※良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉前「収穫(トリアゲ)でも済んで十一月とか十二月とか迄延ばせねエことも有るめエに」
とり‐のぼ・せる【取上】
[1] 〘自サ下一〙 とりのぼ・す 〘自サ下二〙 (「とり」は接頭語) 感情が高まり、分別を失う。逆上する。のぼせあがる。とりのぼる。
※雑俳・神酒の口(1775)「うれしがる・百両あたりとりのぼす」
[2] 〘他サ下一〙 とりのぼ・す 〘他サ下二〙 (「とり」は接頭語。多く「気をとりのぼす」の形で) のぼせあがらせる。
※談義本・銭湯新話(1754)一「清八は天にも上る心地して、滅多に調子高になり、気をとりのぼせて」
とり‐のぼ・る【取上】
〘自ラ四〙 (「とり」は接頭語)
① 高い所へあがる。
※太平記(14C後)九「番馬の宿の東なる小山の峯に取り上り」
② =とりのぼせる(取上)(一)
※浄瑠璃・鎌倉袖日記(1688‐1704頃)二「情ほのめく目のうちに、清忠彌取のぼり、我はみだるるしのずすき」
とり‐あが・る【取上】
〘自ラ四〙
① (「とり」は接頭語) あがる。のぼる。
※太平記(14C後)一六「将軍は香椎宮に取挙(アカッ)て遙に菊池が勢を見給ふに」
② 相撲などで、下位の取組みから上位の取組みへあがる。上位に付く。
※咄本・無事志有意(1798)白眼競「扨だんだんに取あがり」
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