取成し(読み)トリナシ

デジタル大辞泉 「取成し」の意味・読み・例文・類語

とり‐なし【取(り)成し/執(り)成し】

対立する二者の間に入って、うまく折り合いをつけること。仲裁。また、仲介。「―を頼む」
連歌・連句の付合つけあい手法の一。前句言葉を別の意味に転じるなどして句を付けること。

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関連語 文集 名詞 挙止

精選版 日本国語大辞典 「取成し」の意味・読み・例文・類語

とり‐なし【取成・執成】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 双方のあいだに第三者がはいって、悪感情を取り除いたり、互いに都合のよい条件を提示したりして、関係を好転させること。とりつくろい。とりもち。斡旋
    1. [初出の実例]「松林院々家事、取成不叶之間、於今者、不之由、慈恩院申歟云々」(出典:大乗院寺社雑事記‐文明一九年(1487)四月一日)
    2. 「お序(ついで)に義平めが。志もお執成(トリナシ)とあつき詞に人々も」(出典:浄瑠璃仮名手本忠臣蔵(1748)一〇)
  3. 態度、様子。
    1. [初出の実例]「小倉はしみじみとした挙止(トリナシ)で」(出典:春泥(1928)〈久保田万太郎向島)
  4. とりなしづけ(取成付)」の略。
    1. [初出の実例]「とりなしの連歌とて、近年其類おほく候」(出典:長六文(1466))
  5. 解釈のしかた。受けとめ方。取り様。
    1. [初出の実例]「悪敷にても取成にて、皆善事と相成候」(出典:黒住教教書(1909‐20)文集)
  6. ( 執成 ) 特に、キリスト教で、他者のために神に対して懇願したり許しを求めたりすること。また、その祈り。

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