前句(読み)まえく

精選版 日本国語大辞典 「前句」の意味・読み・例文・類語

まえ‐く まへ‥【前句】

〘名〙
連句で、付け合わせるべき前にある句。付句する前の句。前の句。付句が長句(五・七・五)の場合は短句(七・七)、付句が短句の場合は長句である。
※撃蒙抄(1358)「是等の句詞多きやうなれども、前句の合ひしらひによる也」
② 「まえくづけ(前句付)②」の略。
※雑俳・千枚分銅(1704)「紙入に質の札やら前句やら」
遊里で、女郎の方から先に物を言いかけること。男に合わせる付合の逆をいう。
評判記難波鉦(1680)四「前句といふは、おとこの物いわぬさきに、女ろうからいひかけてまけぬやうのこと」

ぜん‐く【前句】

〘名〙
① 前の句。前の語句
名語記(1275)六「前句、後句対揚の義也」
洒落本・白狐通(1800)未亡人「『妻にるひしたるものゆへ、其すじはいやだの』『そんならぜん句(ク)いたしやせう』『おもどりなら、うち越がむづかしいから、わたしが付やせう』」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「前句」の意味・読み・例文・類語

まえ‐く〔まへ‐〕【前句】

連歌俳諧で、付句つけくの前に位置する句。
前句付け」の略。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の前句の言及

【付合】より

…〈寄合(よりあい)〉と同義に用いることもあるが,普通には17音節(5・7・5)の長句と14音節(7・7)の短句を,ことば,意味,情趣などを契機として付け合わせたもの,また交互に付け連ねることをいう。付合の集積によって成立した連句文芸では,発句(ほつく)以外の句をすべて付句(つけく)と呼ぶが,2句一章の最小単位では,付けられる句を前句,付ける句を付句と称する。前句が長句,付句が短句の付合は短歌に似るが,前句が独立しつつも蓋然性に富む意味内容をもち,その判断を付句の作者の読みにゆだねるという点で,短歌とはまったく異なる。…

※「前句」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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