口唇裂と口蓋裂の治療費

六訂版 家庭医学大全科 「口唇裂と口蓋裂の治療費」の解説

口唇裂と口蓋裂の治療費
(口・あごの病気)

 口唇裂口蓋裂の治療に関しては、健康保険が適用されます。病院の規模手術の内容、患者さんの年齢や入院期間によって、かかる費用に多少の差はあります。口唇裂初回手術や口蓋裂初回手術を行った場合、10日間程度の入院が必要となり、入院費、治療費を合わせて、自己負担額は現在の診療報酬制度によりますと20万~30万円になります。

 しかし、①乳幼児医療や②育成医療といった助成制度を活用できる場合には、自己負担は軽減します。また、18歳以降の口唇裂・口蓋裂に基づく著しいそしゃく障害に対する矯正歯科治療や手術に関しては、③更生医療制度が利用できます。事前に概算額や医療助成制度につい病院に問い合わせるのが賢明です。

①乳幼児医療助成制度

 乳幼児医療費助成制度は、乳幼児の医療費の一部を助成することにより、乳幼児の保健の向上や(すこ)やかな育成を図ることを目的とします。乳幼児医療費助成の対象や助成の内容は自治体によって異なります。

②自立支援医療制度(育成医療)

 機能障害を伴うと思われる特定疾患に対して、満18歳までの患者さんが育成医療指定施設で治療を受ける場合のみ、必要な医療費を都道府県が支給する制度です。医療機関で支払う自己負担金は、原則として医療費の1割です。「世帯」の所得や住民税額に応じて自己負担金の上限額(月額)も設けられています。申請は原則的には入院前に行います。

③自立支援医療制度(更生医療)

 この制度は、身体に障害のある人が自立した日常生活または社会生活を営むことができるようにその障害を除いたり、軽減したりするための医療費の一部を助成するものです。身体障害者手帳の交付を受けている18歳以上の人が利用できます。口唇裂・口蓋裂に起因した音声言語・そしゃく障害に対する歯科矯正治療や口蓋裂手術が対象となります。更生医療申請には、更生医療指定医療機関の指定医師ないし指定歯科医師が作成した意見書、身体障害者手帳等が必要です。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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