口唇裂とは、上口唇(上くちびる)の形成が不十分で
遺伝的要因と母体の環境的要因が複雑に組み合わされて起こるといわれています。
裂が片側に見られるものを片側性口唇裂、両側に裂が見られるものを両側性口唇裂と呼びます。裂の程度で、
口蓋裂を伴う症例で裂幅が広く上顎の変形が著しい場合には、手術に先立って
最近の超音波検査機器の進歩により、超音波スクリーニングで出生前に口唇裂が発見されることは少なくありません。出生前診断で明らかになった場合、治療や哺育についてカウンセリングを受けるようにしましょう。口唇裂・口蓋裂の手術を行っている医療機関で相談してください。
口唇裂と口蓋裂が合併した患者さんでは哺乳困難、口唇や鼻部の変形、上あごの発育不全、言語障害、難聴などの問題がみられます。手術に加えて小児科管理、言語治療、耳鼻咽喉科治療、矯正歯科治療(歯並びの治療)などの治療も必要となります。治療期間も出生時から成人に至るまでの長期間にわたり多くの専門家によるチーム医療が必要です。
西尾 順太郎
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
顔面の形態異常の一種で、先天的に口唇が破裂しているものをいう。兎唇(としん)、みつくち、いぐちなどとも俗称された。通常みられるのは上口唇裂であり、左側にみられるものが、右側および両側性のものよりも多い。ごくまれに下口唇に正中裂がみられる場合もある。しばしば歯槽裂(顎裂(がくれつ))や口蓋(こうがい)裂を合併する。口唇裂・口蓋裂児は、わが国では400~500人に1人の発生率であり、そのうち口唇裂のみられるものが約70%を占める。また口唇口蓋裂は男児に多いが、口唇裂単独のものは男女ほぼ同数である。原因については確たる定説がないが、遺伝因子と環境因子の双方が関与しているものと考えられ、環境因子としては、口蓋裂も含めて母体の栄養障害、副腎(ふくじん)皮質機能異常、放射線障害、風疹(ふうしん)ウイルス感染および羊膜の癒着など多くのものがあげられている。口唇裂は審美的に不良であるばかりではなく、哺乳(ほにゅう)障害をも招くので、口唇裂形成手術(兎唇手術)により、口唇の機能と形態の回復を図る。手術は一般に生後3か月前後から行われる。両側性口唇裂では、一側ずつ行う場合には、一側を生後3か月ごろ、他側を6か月ごろに行う。両側同時に行う場合には、生後5~6か月ごろに行う。麻酔は経口的挿管(そうかん)による気管内麻酔による。程度により術後の回復は異なり、二次的な再形成手術を必要とすることもある。
[矢﨑正之]
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