精選版 日本国語大辞典 「口寄」の意味・読み・例文・類語
くち‐よせ【口寄】
- 〘 名詞 〙 神仙や死霊の言葉を霊媒に語らせること。また、それをする者。行者や巫女(みこ)が、第三者を霊媒に仕立てて、それに神仙や死者の霊を乗り移らせる場合と、行者や巫女が自ら霊媒となる場合がある。
- 口寄せ〈人倫訓蒙図彙〉
- [初出の実例]「の給はん事をも聞かん、又神のまこと、そら事をも聞かむとて、左近の乳母泣く泣く御くちよせに出立つに」(出典:栄花物語(1028‐92頃)後悔の大将)
- 「此間口(クチ)よせの巫女(いちこ)に」(出典:談義本・当風辻談義(1753)三)
口寄の語誌
「くち」は神霊や亡者の口、「よせ」は「寄り代」「寄りまし」の「より」に通じ、神霊を寄りつかせることを表わす。口寄せには、神霊の託宣を主とする神口(かみくち)、死霊を呼び出す死口(しにくち)、生霊を呼び出す生口(いきくち)などがある。