亡者(読み)もうじゃ

精選版 日本国語大辞典「亡者」の解説

もう‐じゃ マウ‥【亡者】

〘名〙
① 仏語。
(イ) 常識的な考えにとどこおることを否定する人。とらわれを捨てた人。
※維摩経義疏(613)弟子品第三「若能同観凡聖泯然一空、空無二故、以一食汝時、即是供養一切。若能如是亡者真可正人
(ロ) 死んだ人。死者。また、死んだ後に成仏しないで魂が冥土に迷っているもの。
※栄花(1028‐92頃)楚王の夢「今は此の御娘一所をこそ、且はいみじかりける我まうじゃかな」 〔晉書‐馮跋載記〕
② 色欲・金銭欲などの強い人。「金の亡者」「我利我利(がりがり)亡者」など。
※人情本・柳之横櫛(1853頃)三「謹めば猶つつしむほどがまんのならぬ色の道に踏まよったる亡者」
③ 占ってもらいに来る客。易者のいう語。
※歌舞伎・富士額男女繁山(女書生)(1877)二幕「占ひ仲間の符牒では、客を亡者(マウジャ)といふさうだ」
④ 魚のこと。僧侶のいう語。
※雑俳・軽口頓作(1709)「かくべつじゃ・もうじゃが入ると大根迄」

なき‐もの【亡者】

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デジタル大辞泉「亡者」の解説

もう‐じゃ〔マウ‐〕【亡者】

仏語。死んだ人。また、死んでなお成仏できずに冥途めいどをさまよっている魂。
金銭や色欲などの執念にとりつかれている人。「金の亡者」「権力の亡者

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普及版 字通「亡者」の解説

【亡者】ぼう(ばう)しや・もう(まう)じや

死者。〔肋集、下〕臨安鐵院の、~水陸齋を爲すこと極めて嚴、多くを見て、の形貌語言を(い)ふこと甚だ(あや)し。人、之れに歸向す。魯直(庭堅)、之れが爲に庵歌を冩(つく)り、石にして世に傳ふ。

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世界大百科事典内の亡者の言及

【追捕】より

…律令条文のなかにすでに見える。ここでは〈罪人〉はもちろんのこと,〈囚(しゆ)〉〈征人(せいじん)〉〈防人(さきもり)〉〈衛士(えじ)〉〈仕丁(じちよう)〉など軍事・警察的任務についているものや,〈流(る)〉〈移(い)〉など強制的に居所を移されたものが,その指定された場所から逃亡した場合にも(こういう者を〈亡者〉と総称する)追捕の対象となった。したがって追捕を任務とする特定の官職があったわけではなかったが,やがて大規模な追捕のために臨時的に〈使〉が任命されるようになり,のちさらにこれが常設の官職になった。…

【プレータ】より

…ところが死者に対し上述の一連の儀礼が,子孫が絶えてしまうなどの理由で行われない場合,死者霊は不浄のまま,さらに攻撃的になってさまようことになる。後代にはこのような亡者を指しても用いられている。さらに,このような儀礼による供物を絶たれた霊は飢渇にさいなまれ,あさましい物を食し,あさましい姿をとると考えられた。…

※「亡者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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