口角びらん(読み)こうかくびらん(英語表記)Angular cheilitis

六訂版 家庭医学大全科 「口角びらん」の解説

口角びらん
こうかくびらん
Angular cheilitis
(口・あごの病気)

どんな病気か

 唇の端で上唇下唇がつながる部分を口角といいます。口角がただれたり、切れたりした状態を口角びらんといいます(図7)。普通は、左右の口角に同時に生じることが多いようです。

原因は何か

 ビタミンB群の不足や貧血糖尿病などの全身的な病気が原因で生じます。また、唾液分泌が減って口のなかが乾いたり、口角をなめる癖のある場合に生じることもあり、入れ歯を無理矢理押し込んだり引っ張り出したりすると生じることもあります。大きく口を開けて物を食べたりした時に口角が切れてしまうこともあります。

 口角は話や食事をする時に必ず動くところなので、口角びらんを生じると動かすたびに痛みを感じますし、酸っぱいものや醤油などがしみたりします。日常生活でよく動かすところなので、治りにくいのが困るところです。

治療の方法

 原因になった全身的な病気を治すことが先決です。ビタミン剤や鉄剤の服用が有効であることが多いのですが、糖尿病によって抵抗力が低下している場合には、抗生物質や抗真菌薬の入った軟膏を塗ったりもします。また、1週間くらいは大きく口を開けないように注意して生活することも必要です。

 大きく口を開けたために口角が切れてびらんを生じた場合には、ステロイド含有の軟膏を塗ってもよいのですが、化膿している場合にはむやみに軟膏を塗らないほうがよい場合もあります。カンジダ菌の感染を生じていることがあり、その時は、抗真菌薬の軟膏が有効です。

野口 信宏, 後藤 昌昭


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「口角びらん」の解説

こうかくびらんこうかくえん【口角びらん(口角炎) Angular Cheilitis】

[どんな病気か]
 ただれ、ひび割れ、ときにかさぶたが口角(口の端)だけにできる状態を、口角びらんといいます。両側にできることも、片側だけのこともあります。
[原因]
 子どもは、口角に付着したよだれ食物の残りかすなどに細菌が感染しておこることが多いものです。ときに、真菌(しんきん)(かび)の一種のカンジダが感染することもあります。
 おとなは、糖尿病、貧血(鉄欠乏性貧血、巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ))、ビタミンB欠乏症などの病気で、感染に対する抵抗力が低下しているときに細菌やカンジダが感染しておこることがあります。
 抗生物質や副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬の長期使用が原因のこともあります。
 高齢者は、このような原因がなくても、カンジダが感染しておこることがあります。
[治療]
 原因菌を調べる培養検査や、採取した組織を顕微鏡で見る検査で菌体を確認して診断します。
 びらんのおこっている部位を清潔にして、乾燥させるようにすれば治ることが多いものです。
 重症の場合は、抗生物質やカンジダに有効な薬剤を塗布し、全身的な病気がある場合は、その治療が必要です。

出典 小学館家庭医学館について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「口角びらん」の意味・わかりやすい解説

口角びらん
こうかくびらん

口角炎

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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