古今いろは評林(読み)ここんいろはひょうりん

改訂新版 世界大百科事典 「古今いろは評林」の意味・わかりやすい解説

古今いろは評林 (ここんいろはひょうりん)

歌舞伎で上演された《仮名手本忠臣蔵》の各役に関する芸評集。八文字屋自笑著。1785年(天明5)11月刊。2巻。冒頭に《忠臣蔵》を中心とする赤穂浪士劇の概要を記した後,1749年(寛延2)2月から85年9月までの,三都における役割表を掲載。次いで本文に入り,師直,判官,本蔵,由良助,勘平,おかる,となせ,義平など,主要な25役について,それぞれの役の心得と代表的な役者の演じ方を記し,巻末には名古屋での興行一覧を付ける。《忠臣蔵》の演技変遷を知るうえで不可欠の文献となっている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の古今いろは評林の言及

【吉良義央】より

…また,生捕りにされ,〈覚悟はできている,さあ,首をとれ〉と言いながらも,油断をみすまして大星由良助(ゆらのすけ)(大石良雄)に斬りかかるという,ひきょう未練な人物としても描かれている。〈忠臣蔵〉の詳細な演出史を示した《古今いろは評林》(1785)には,師直の演じ方に関し〈すべて此役は高位の姿にて,底意に恋をもって意地をふくみ,言葉しつこう憎がらるるやうにするを本意とする也〉と記されている。こうした師直像は,歌舞伎や人形浄瑠璃の舞台をはじめとし,浪曲,講談,映画をも通して,ますます悪人として誇張され脚色されて,広く浸透していった。…

※「古今いろは評林」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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