可動間仕切り(読み)かどうまじきり(その他表記)movable partition

改訂新版 世界大百科事典 「可動間仕切り」の意味・わかりやすい解説

可動間仕切り (かどうまじきり)
movable partition

移動間仕切りともいう。建物内部の空間を仕切る壁で,移動可能なものをいう。平常時は固定的に使用される壁のタイプと,開閉式の建具的なタイプがあり,両者の性格はおおいに異なる。前者は,建物本体の床,壁,天井仕上工事が終わった後に,部屋の使い方に応じた間仕切りをするために用いられ,部屋割の変更の必要性に応じて取り外し,移設が可能である。このようなプラニング上および時間的変化のうえでの柔軟性をもつという性格から,主として事務所建築に多用される。床と天井に設けたレールパネルをはめ込むパネル式,床と天井の間に立てたスタッドにパネルを取り付けるスタッド式,床から自立するスタンド式がある。パネル式は密閉性を得るのに適しており,片面だけを同一の仕上げとした壁の仕上用のパネルを含むシステムにすることもできる。スタッド式は上部下部を開放型にするなど,パネルの組合せに自由度がある。スタンド式は遮へい能力を欠く簡易なタイプであったが,オープンプラン型の事務所空間の登場によって再評価され,高性能のシステム製品もでてきた。各タイプに共通して,各種パネルの組合せや,ドア,棚,戸棚,作業テーブル,電気配線などの取付けが可能なものがあり,収納家具自体が間仕切壁になったタイプ(収納間仕切り)も可動間仕切りの一種と考えられる。移設可能であるとはいっても,現実にはさほど頻繁に間仕切壁が動かされるわけではなく,構造のうえからも間仕切り変更時の転用は必ずしも容易ではない。建物本体から分離して間仕切工事をすることが可能なプレハブ間仕切りであるという施工上の特性のほうが,むしろ重要視される。

 開閉式に使用されるタイプの可動間仕切りは,宴会場,会議室など大きな部屋を二つ以上にくぎって使う場合に用いられるが,簡易なタイプは住宅にも用いられる。天井に設けたレールからつるタイプと,車付きで床から自立するタイプがあり,伸縮式(アコーディオンドアアコーディオンカーテンともいう),折畳式(フォールディングドア),天井づりのパネルを1枚ずつ収納する方式スライディングドア)などがある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の可動間仕切りの言及

【壁】より

…また,壁は本来,建物に固定された不動のものであるが,室の使いかってにあわせて移動ができると便利なことがある。建設後も移動可能な間仕切壁を可動間仕切りと呼ぶ。【大野 隆司】
[日本建築の壁]
 種類は素材や製法によって多く,一般的な板壁,土壁のほか貼付壁,網代(あじろ)壁,茅(かや)壁,石壁,煉瓦壁などがある。…

※「可動間仕切り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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