合成樹脂工業(読み)ごうせいじゅしこうぎょう(その他表記)plastics industry

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「合成樹脂工業」の意味・わかりやすい解説

合成樹脂工業
ごうせいじゅしこうぎょう
plastics industry

合成樹脂の生産および加工を行なう工業。石油化学によって生産される樹脂が約 65%を占める。1950年代後半の石油化学工業始動で工業化が進み,多品種の合成樹脂の開発に伴って鉄鋼,ガラス,紙など他素材の代替素材としての需要の増加などにより急速に発展した。石油危機により低迷期を迎えたが,官民一体の産業構造改善がはかられ,その後加工技術の進歩に伴って,高機能製品の開発を進めるうえで有効な新素材としての側面が再評価された。企業形態は,総合化学工業や石油化学工業がその一部門として生産するものが最も多く,そのほか加工メーカーが原料自給のため生産するもの,需要産業が自家消費するもの,または専業メーカーとして生産するものなどがある。樹脂の種類は大別すると熱硬化性樹脂熱可塑性樹脂に,また原料から石炭系樹脂,カーバイト系樹脂,石油系樹脂などに分類される。国内生産では塩化ビニルポリエチレンをはじめとする熱可塑性樹脂が生産量の 8割強を占め,また石炭系のユリア樹脂フェノール樹脂などの割合も高い。

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世界大百科事典(旧版)内の合成樹脂工業の言及

【合成樹脂】より

…実質上はプラスチックplasticと同義と考えてよいが,プラスチックは成形品になるもののみをいう場合がある。
[合成樹脂工業]
 古くから,松やに(ロジン),昆虫の分泌物のシェラックなどが天然樹脂として知られ,また,半合成樹脂としてセルロイド(ニトロセルロース),アセチルセルロースなどが生産されていたが,合成樹脂工業の歴史は1907年にアメリカのL.H.ベークランドが発明したベークライトbakeliteに始まる。ベークライトはフェノールとホルマリンから純粋に人工的に合成された物質で,フェノール樹脂の一つである。…

※「合成樹脂工業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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