ユリア樹脂(読み)ゆりあじゅし(英語表記)urea resin

翻訳|urea resin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユリア樹脂」の意味・わかりやすい解説

ユリア樹脂
ゆりあじゅし
urea resin

アミノ樹脂アミノ基-NH2を含む化合物とアルデヒドとの縮合によって得られる樹脂の総称)の一種。尿素樹脂ともいい、熱硬化性樹脂の一つである。ユリア(尿素)とホルムアルデヒドとをアルカリ性のもとで反応させてメチロールユリアをつくる。

垣内 弘]

製造法

実際の製造はユリアとホルムアルデヒドを1対2~3モルの割合に混ぜ、アンモニア水で反応液のpHを7~8に保つ。反応温度35~70℃で約4時間反応させ、次に減圧濃縮してその水分の20~30%を除去するか、あるいはそのままの溶液充填(じゅうてん)材を加える。ユリア樹脂は美しい光沢のある製品を形成するのが特徴であるから、充填材としては白色の人絹用パルプを70~80%添加する。パルプの添加によって製品の収縮を防ぎ、耐絶縁性(電気絶縁性)を与え、製品の機械的強さを増加させる。パルプと混合したものは50~60℃の乾燥器中で乾燥して水を追い出す。その間にメチロールユリア(ユリア樹脂)が成長していく。すなわちメチロール基HOCH2-の入ったメチレンユリアになる。ユリア樹脂の熱硬化はメチロール基どうしの縮合反応、メチロール基とアミノ基やイミノ基と縮合することによる。

 いずれの反応も、水が生成する縮合反応で酸が触媒となる。実際には触媒として無水フタル酸、塩化亜鉛、塩化アンモンのような酸性化合物の少量と滑剤や顔料などを加えて微粉砕する。成形はクロムめっきした金型を用いて130~150℃で圧縮成形する。

[垣内 弘]

用途

接着剤としての用途は木材接着剤として合板の製造に用いられる。メチロールエーテルをアルコールでエーテル化したものは塗料になる。ユリア樹脂の特徴は安価なことと、着色が自由なことで、雑貨品としての用途が多く、日本では年間約14万トン(2002)生産されている。

[垣内 弘]

『布山五雄著『尿素樹脂工業・メラミン樹脂工業』(1950・誠文堂新光社)』『沼田勇記著『ユリア樹脂』(1961・日刊工業新聞社)』『三輪一郎著『プラスチック材料講座 ユリア・メラミン樹脂』(1978・日刊工業新聞社)』『本山卓彦・永田宏二著『接着剤』(1988・工業調査会)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例