吐月峰(読み)トゲッポウ

デジタル大辞泉 「吐月峰」の意味・読み・例文・類語

とげっ‐ぽう【吐月峰】

《静岡市西部の丸子町にある山の名。連歌宗長が、ここの竹林の竹で灰吹きを作り、吐月峰と名づけたところから》タバコ盆に用いる竹製の灰吹き。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「吐月峰」の意味・読み・例文・類語

とげっ‐ぽう【吐月峰】

[1] 静岡市駿河区丸子(まりこ)にある山。連歌師宗長が開いた柴屋(さいおく)寺の東にあり、その峰に出る月を賞して命名したという。
[2] (宗長が(一)に産する竹をタバコ盆の灰吹きに製してこれに吐月峰と記したところから) タバコ盆の中にある灰吹き用の竹筒
雑俳・しげり柳(1848)「暁にはづむ鞠子の吐月峯」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「吐月峰」の意味・わかりやすい解説

吐月峰
とげっぽう

たばこ盆に入れてある灰吹き用の竹の筒をいう。室町時代の連歌(れんが)師宗長(そうちょう)は駿河(するが)国安倍(あべ)郡長田村(現静岡市駿河区丸子(まりこ))に柴屋(さいおく)寺を開き、山の峰から月の出る景観の美しさを愛して、この地の山を吐月峰と命名したといわれる。その吐月峰に産する竹が灰吹き用の竹筒にもっとも適し、宗長はここで製する竹筒に吐月峰と産地の銘を初めて刻したと伝えられ、のちこれがたばこ盆の灰吹きとして広く世に用いられるようになってから、吐月峰は灰吹きの代名詞となった。

[棚橋正博]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android