向合(読み)むこうあわせ

精選版 日本国語大辞典 「向合」の意味・読み・例文・類語

むこう‐あわせ むかふあはせ【向合】

〘名〙
① 向かい合っていること。むかいあわせ。
評判記色道大鏡(1678)九「同宿は申に及ばす、隣家向合(ムカフアハセ)などにある人へつけこたへの文をやるには」
② 釣る人が、魚が餌(え)を食うのに合わせて鉤(はり)にかけるのではなく、魚が餌を食って自分で鉤にかかること。

むかい‐あわせ むかひあはせ【向合】

〘名〙
① 互いに向き合うようにすること。また、その状態。向かい合い。
※元祿版古今著聞集(1254)一六亀山殿の宿所むかひあはせにてありければ」
② 取引相場で、取引所員が客の売注文と買注文のうち同一の銘柄期限数量のものを組み合わせて、市場に出さずに売買を成立させること。食い合わせ。〔取引所用語字彙(1917)〕

むかい‐あわ・す むかひあはす【向合】

[1] 〘他サ五(四)〙 互いに正面を向くようにする。向かい合わせる。
※うもれ木(1892)〈樋口一葉〉八「劃どりの内の画は、表面対の金銀閣寺、裏面向(ム)かひ合(ア)はす湊川稲村が崎」
[2] 〘他サ下二〙 ⇒むかいあわせる(向合)

むかい‐あ・う むかひあふ【向合】

〘自ワ五(ハ四)〙 互いに正面を向いて対する。向き合う。
太平記(14C後)二六「四条中納言隆資卿大将として〈略〉色々の旗を手に差上げ、飯盛山にぞ向ひ合ふ」
魔風恋風(1903)〈小杉天外〉後「互に澄まぬ顔色して対座(ムカヒア)って居る」

むかい‐あわ・せる むかひあはせる【向合】

〘他サ下一〙 むかひあは・す 〘他サ下二〙 =むかいあわす(向合)(一)
史記抄(1477)六「車さかしきと云ものを、門の処には車を二両左右に轅を向いあわせて門とするぞ」

むかい‐あい むかひあひ【向合】

〘名〙 向かい合うこと。また、そういう状態。むきあい。
油地獄(1891)〈斎藤緑雨〉一〇「小歌と向(ムカ)ひ合(ア)ひに膳をならべた貞之進は」

むき‐あ・う ‥あふ【向合】

〘自ワ五(ハ四)〙 互いに体の正面を向け合う。相対する。向かい合う。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※尋常小学読本(明治三六年)(1903)三「にじは、日とむきあって、でるものです」

むき‐あい ‥あひ【向合】

〘名〙 向き合うこと。向かい合い。
※遠西観象図説(1823)中「毎朔日・月同経度に会し、毎望一百八十度を隔てて対衡(〈注〉ムキアヒ)すといへども」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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