吾仏・我仏(読み)あがほとけ

精選版 日本国語大辞典 「吾仏・我仏」の意味・読み・例文・類語

あ‐が‐ほとけ【吾仏・我仏】

〘名〙
① 自分の信仰する仏。自分の守り仏。持仏。他の仏と比べてとくに霊験のあるものとして帰依する気持をこめていう。
読本・椿説弓張月(1807‐11)前「あが仏を尊むに似たれど、愚父にて候為義は、十四才の時勅(みことのり)を承りて美濃前司義綱を攻め亡ぼし」
② 自分が大切に思う人。頼りとする大事な人。対称代名詞のように用いることがある。
(イ) 僧を尊敬していう。
※仲文集(992頃)「あが仏顔くらべせば極楽のおもておこしは我のみぞせむ」
(ロ) (男女ともに)親しみをこめて相手をよぶ。あが君。
※新井本竹取(9C末‐10C初)「あがほとけ何事を思はせ給ふぞ」
③ 自分が大切に思う品物。大事な宝物
※仮名草子・都風俗鑑(1681)二「彼女(かのむすめ)にかからん事をねがひて、ひたすら吾仏(アガホトケ)とそだてなし」
[語誌]中古以降、頼りとする人に対して敬愛の意をこめ、あるいは、持仏のように大切に思う人に対して親愛の意をこめて用いられた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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