呰部郷・呰部庄(読み)あざえごう・あざえのしよう

日本歴史地名大系 「呰部郷・呰部庄」の解説

呰部郷・呰部庄
あざえごう・あざえのしよう

和名抄英賀あが呰部あさべ郷の郷名を継いだものか。吉備高原の谷の備中川に沿った上呰部・下呰部を遺称地として、付近一帯に比定される。浅井郷とも記す。

英賀庄内で山科家領であった。英賀庄は京都金剛心こんごうしん院領で、後白河院より寵妃丹後局(高階栄子)に与えられ(建久三年三月日「後白河法皇院庁下文」大徳寺文書)、さらに栄子より子の教成に譲られ、山城山科やましな御影堂領として山科家根本所領となったと思われる。のち教成の曾孫の資行とその叔父教頼との間で相論が生じ、弘安九年(一二八六)亀山院の裁許により英賀庄呰部郷は教頼に、同水田郷は資行に分割相続された。しかし正応二年(一二八九)に当郷は資行のものとされ、正安三年(一三〇一)には教定(教頼の子)に返され、延慶年間(一三〇八―一一)に和与のため教頼分の所領が中分され当郷は行意(資行)に付けられたが、行意の養子教行は実父教定と相論を続けたため、忠孝の道に背くとして後宇多院より家領全体が教定のものとされた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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