唯浄裏書(読み)ゆいじょううらがき

改訂新版 世界大百科事典 「唯浄裏書」の意味・わかりやすい解説

唯浄裏書 (ゆいじょううらがき)

御成敗式目》の注釈書。1巻。作者唯浄。1条から19条まで欠失しており,20条以降51条までの各条文の裏に法律用語の訓,解釈などを記す。成立年代は唯浄の奥書によって1289年(正応2)と知られるが,いまだその全体裁については明らかでない。作者唯浄は斎藤氏で,基茂(本名基治)といい藤内兵衛入道と称して,永仁・正安年間(1293-1302)のころ六波羅奉行人として活動した。本書最古の式目注釈書であり,中世法制史上重要な史料である。《中世法制史料集》別巻所収
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「唯浄裏書」の解説

唯浄裏書
ゆいじょううらがき

六波羅奉行人斎藤基茂(法名唯浄)が,「御成敗式目」の法意を解説,読みを正して,斎藤家の故実を子や一族の者に伝授した注釈書。六波羅探題室町幕府の奉行人を勤めた斎藤家の家説として代々伝えられた。写本には,1289年(正応2)12月に伝授した本奥書がある。現存する「御成敗式目」の注釈書では成立年代が最も古い。竜門文庫蔵本は,1356年(延文元・正平11)に行われた講義テキストと推定される。「中世法制史料集」所収。

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